第3話 ふ~・あー・ゆ~
「はい、じゃあ課外授業に移行します」
立花先生が手を叩いて場を収め、ついでに仕切りだした。
教室をツカツカと出ていき校内放送で小太郎を呼び出す。
「生徒会長 佐藤くん 至急 生徒会室へ」
生徒会室では小太郎と春奈が梅こぶ茶を飲んでいた。
「なにか、やらかしたんですね…」
「まぁ、丁度良かったじゃありませんか、このまま、ここで待っていればいいのですから、皆さんの分もカップを用意いたしますわ」
(梅こぶ茶を飲みながらする程度の話ならいいんだけどな~)
窓の外から見下ろすグラウンドではダラダラと体操しているゾンビが数人、それを眺めて、大きなため息を吐く小太郎であった。
ガラッと生徒会室のドアが開いて冬華が入ってきた。
「どうどうです‼」
「ヒヒーン‼」
この短時間で、だいぶ背が伸びたな…と思った小太郎であったが夏男が四つん這いで冬華を乗せていたことに気づいた。
(大分、辛そうだな…この人も)
もうイチイチ触れたくもなかったので、涙目の夏男のことはスルーすることにした。
「まぁ入りたまえ」
秋季の後ろに立花先生と黒い特攻服の男子が1名。
(立花先生から聞いてはいたが…なかなかの難物そうだな…)
「アンタが、ここの総長なんだってなー‼」
ツカツカと小太郎の前にガタイのいい特攻服が歩み寄り、ガンたれてきた。
「そ…総長? 僕が?」
特攻服から目を逸らす小太郎。
(久しく感じなかったけど、他人と目が合うって怖いんだよな~)
目の焦点が曖昧なゾンビと違って赤の他人がガッツリと視線を投げてくるなど久しくなかった小太郎、しかも友好的とは思えない視線なのである。
「とりあえず、アンタとタイマン張る前に、特攻隊長と親衛隊長を、まとめて片付けっから、ヨロシク‼」
チラッと視線を秋季に向ける小太郎。
「ハハハッ、どうやら私は親衛隊長であるようだぞ、ハッハッハ」
「冬華は特攻隊長です‼」
「大雑把な話は聞いているぜ、どうやら、このチームに俺を引き入れたいってな、だが、俺は自分より弱ぇ奴の下には就かねえからよ‼」
(ドエライ新入生が入ってきたもんだ…)
「うむ、生徒会の維持に書記は不可欠、この一ノ瀬 秋季が見事、引き入れてみせよう‼」
「上等だコラッ‼」
「上等です‼」
「それでね、先生考えたの、丁度、除霊勝負とかの流れになってたからね、勝負に勝って引き入れればいいってね」
「あのぉ~、除霊勝負ってなんですか?」
「彼ね、エクソシトらしいのよ」
「まぁ、それは心強いですわ‼」
スッと立花先生に梅こぶ茶を差し出す春奈。
「冬華と同じです‼」
(いや…違うだろう…)
「頼みがある…小太郎…」
冬華が跨る人馬が、震える声で訴えかけてきた。
「なんですか? 夏男さん」
「早く進行させてくれ…もう肘、膝、腰が…限界だ…」
ゴミを見るような目で夏男を見て、大きくため息を吐く小太郎であった。
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