第33話 りばいば~
「まぁ♪ お見事ですわ」
床にポトッと落ちた夏男の右手の小指に一同の視線が注がれ、最初に言葉を発したのは春奈であり、それは冬華への、お褒めの御言葉であった。
「うむ…天晴‼」
「じゃねぇ‼」
夏男が大慌てで自らの小指を回収して、走り去った。
「今日は早退ね…いや、でも二階堂君は、、もう生徒じゃないからいいのかしら?」
「問題はソコじゃねぇ…指詰められたんだぜ…メガネ先輩」
「詰めた? 切ったですよ冬華がジャキンッと」
満足そうな顔でほほ笑む冬華。
「ナイスジャッキンでしたわ」
(夏男さん…どこに行く気なんだろう?)
「うむ…しっかりと小指は回収していったのだ、大丈夫であろう」
「じゃあ話を戻して進めましょう、AIとチョコボールのことは無視して…」
小太郎が淡々と場を仕切る。
(この人は、この人でヤベェ奴なのか? 地味にヤベェ奴なのか?)
青海は自分の住んでいた世界の小ささを知ったような気がした。
「じゃあ、チョコボールくん、未来から来たのは一応、信じるとして……おやっ? 何の話でしたっけ?」
小太郎は話の趣旨を忘れていた。
無理もない、目の前で小指がジャキンッだ。
「不甲斐ない…私の後を継いだというのに、小太郎会長には、まだまだ生徒会長は荷が重いと見える」
残念といった顔で首を横に振る秋季。
「致し方あるまい、私が相談役として本日、この時より就任しようではないか」
「まぁ、無駄に心強いですわね」
「そうであろう、そうであろう、ハッハハハ‼」
「良かったわね就職が決まって、先生も安心よ」
「就職なんですか?」
「もちろんだ、では相談役が話を進めるぞ‼ 向井氏がチョコボール向井の子孫だったという件についてだが~」
「えっ? そっちなんですか?」
「まぁっ? そのチョコボールというのは有名人でしたの?」
「うむ‼ 無論だ、その界隈では知らぬ者はいない豪傑であったと聞く」
「まぁっ 豪傑ですの?」
「うむ‼ 豪快なケツであった、蛍光カラーのビキニの似合うな、ねぇ先生‼ハッハハハ‼」
「……先生ノーコメントで…頼むわよ」
「まぁっ? よく解りませんが、立派な先祖をお持ちなのですね向井さん」
「いや…心当たりはないのですが…そうなのでしょうか?」
「チョコボール氏も立派な息子さんをお持ちであったらしいしな、ハッハハハ‼」
「まぁ、ご子息が? 自慢していいですのに、向井さん」
「先生…限界よ…」
「何がですか?」
「色々とね…先生、昭和寄りの人だからね…どうしてもね」
フッと寂しそうに笑う立花先生。
下ネタが横行した生徒会室、同時刻……
「早く‼ くっ付けろよ‼ なんでゴリラテープなんだよ‼ せめて接着剤だろうが‼」
駆け込んだ病院でゾンビ医師と治療方針を巡って揉めている夏男であった。
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