第10話 めたもるふぉ~ぜ

 一瞬、視線を合わせたベテラン嬢 桔梗とそれを脅かす勢いのある若い嬢 春奈。

 どちらからというわけでもなく、カッ、コッ、とヒールの踵を鳴らしながら鳥居を潜る。

「どうやら前衛は、あの2人のようですね…秋季さん」

「うむ、女神と僧侶がフロントに立つパーティとは斬新だな」

「先頭は譲れねぇぜコラッ‼」

 走って2人を追いかける青海。

「あの2人に割って入る気か…新人ってのは怖ぇなオイ」

 夏男が小太郎の肩をポンポンと叩く馬の方で。

 パシッとその手(馬の方)を払う小太郎。

「ほ~う…そういう態度ね…はいはい…歯ぁ食いしばれ‼ 修正してやる‼」

 大きく右拳(馬の方)を振り上げ小太郎に殴りかかる夏男。

「聞こえたぞコラッ‼ ハードラック・ダンス‼」

 ピタッと足を止めた青海、右手の人差し指が夏男を指す。

 ツィーンッ‼

 足を滑らせた夏男、よろけてバックしてきたタクシーにゴンッと轢かれた。

 倒れた夏男に中指立てて青海は再びキャバ嬢を追いかけていった。

「うわぁ~」

 小太郎が嫌そうな顔で同情ともとれる声をあげた。

「相変わらず、恐ろしい能力だな」

 ポンッと秋季が小太郎の肩を扇子で叩く。

「エグいですね…」

「あの能力に対抗できるとしたら…私の『ゴッド・イーター』くらいだろうな…」

「何をもって、その判断を?」

「剣を交えた者にしか解らんことかもしれんがな…ハッハハハ」

 笑いながら鳥居を潜る暗黒騎士『秋季』

(なんで、あんなに何事にも自信たっぷりなんだろう…)

「我々も行くぞ、小太郎会長」

「そうですね」

 遅ればせながら後衛2名も神社へ向かったのである。

「秋季さん」

「何かな?」

「良かったですね」

「何がだ?」

「鳥居ダメージ喰らわなくて」

「ハッハハハ、小太郎会長、この『スターレス・ナイト』装備に状態異常など効かんのだよ、ハッハハハ」

「それは良かったですね、凄いタキシードで…」

「タキシード? 小太郎会長、コレは『スターレス・ナイト』の鎧だが?」

「もう、そういうことでいいです」

「そういうこととは…どういうことだ?」

(面倒くせぇな…)


「人身事故だろコレ…」

 満身創痍の夏男がヨロヨロと立ち上がる。

「この恨み…この恨みー‼ 晴らさでおべきかー‼」

 肝心なところで咬む夏男。

「うぉおおおおおー‼」

 独りだったけど、恥ずかしいので大きな声で雄たけびをあげて、ちょっと凹んだテンションを取り戻そうとしていた。


「小太郎会長、なんか聞こえたな」

「そうですね、『原さんオキュベキ化』とかなんとか聞こえましたね」

「オキュベキ化とは? 何化?」

「…さぁ? 馬鹿がメタモルフォーゼしたんじゃないですか」

「夏男がか…何に変わったんだろうな?」

「興味ありませんよ、早く追いつきましょう…あの4人に…色々、心配です」


 そして境内では、その4人が色々やらかしそうになっていたのである。

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