第41話
「もう一度言う。
お前には紗代子さんを幸せには出来ない。
紗代子さんの立場を考えて身を引いてくれないか」
雄也は直治に落ち着いた口調で言った。
「おまえ、、だからなんども電話したが出なかったのか?紗代子に、、紗代子に何をした?」
「紗代子さんの気持ちはお前にはもうない。
お前も美鈴という親父が決めた女がいるだろう。これ以上紗代子さんをたぶらかして彼女の人生を狂わさないでやってくれ。
私には彼女を幸せにする自信がある」
雄也の言葉に、直治は怒りが込み上げ、雄也に殴りかかった。
しかし、弱った体の直治に雄也が勝てる訳がなく、逆に雄也に殴り返されてしまった。
「いいか、これが私の答えだ。
お前ともこの組とも縁を切る。私は紗代子さんの為ならなんだってする。」
殴られても尚立ち上がろうとする直治に、雄也はきつく釘を刺した。
そして、部屋から出て行った。
(雄也が、、紗代子と一緒になる?
紗代子と一夜を共にした?
一体どういう事なんだ!どうして雄也が、、)
怒りからなのか、虚しさからなのか、直治は倒れたまま動けない。
雄也が屋敷から出て行ったのを知った美鈴が、直治の部屋に入ってきた。
直治の倒れた状態を見て、真っ青になり彼に駆け寄った。
「直治様、どうされたのですか?」
直治を起こそうとした美鈴の手を、直治は振り払った。
「美鈴、出て行け。」
直治は心配する美鈴に冷たく言った。
「雄也さんと何かあったのですね。私は直治様が心配です。ここを離れません」
美鈴はガンとしてきかなかった。
今の直治は全てが受け入れられなかった。
「誰か来い!美鈴を部屋から追い出せ!」
直治の大声に、男衆が部屋に来て直治の側にいる美鈴を無理矢理引き離した。
「直治様!」
泣きながら叫ぶ美鈴を連れ出した。
「若、どうされました?」
男衆の1人が直治に聞いた。
「今から外出する。用意を頼む」
「しかし、組長が反対されます」
「うるさい!今から病院へ行く。車を出せ」
直治は大声で怒鳴った。
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