第87話

(なんだかとても暖かい。お母さんに抱きしめられている感触。これは夢の中?

夢なら覚めないで。。)


若葉は恋しさの余り、母の面影をギューっと抱きしめた。


あれ?夢の中なのに、どうしてこんなにリアルに掴めるの?

それに柔らかい感触ではなくて、どちらかというと硬い感じが。。


一瞬彼女の唇が何かに触れたような気がして、閉じていた瞼を開いてみた。


夢じゃないのか。。


そう思った瞬間、目の前には拓也の顔があって、あろう事か自分から強く抱きしめていた。



若葉は思わずベッドから飛び起きた。


「良く寝てたから起こそうか迷ってたんだ。

そうしたらいきなり抱きつかれてびっくりしたよ」

拓也はそう言って微笑んだ。


「ご、御免なさい!私勝手にベッドで寝てしまって。。」

若葉は真っ赤な顔をしながら頭を下げた。


彼はまだ横になっていて、ここにおいでとベッドを軽く叩いている。


渋々彼の言うとおりに横になった。


「いつもの可愛い若葉も好きだけど、今みたいに大胆な若葉も魅力的だよ」


言うと同時に、拓也の体が上に被さってきた。


うわー!どうしたらいいの。

ベッドの上で逃げられません状態になってる。。


拓也の行動にはいつも若葉は驚かされる。


彼の視線を上から感じて、恥ずかしさに横を向いていると、

「キスマーク、ちゃんとついているね」


そう言うなり、首筋から耳の辺りまで拓也の舌で舐め回された。


あ、やだ、こんなの駄目。。


彼の攻撃から逃げようと体を動かそうとするも、両手を押さえつけられて身動きが取れなくなってしまった。


「逃げないで。若葉の感じる顔が見たい」


彼は器用にブラウスのボタンを口で外していく。

しだいに着けているブラジャーから胸の谷間が現れて、その部分にそっと顔を埋めてきた。


若葉の胸の高鳴りをきっと知られているに違いない。


「ずっとこうしていたい。。若葉、愛してる」


拓也の言葉に全身の力が抜けていく。


彼の息遣いが荒くなり、若葉もそんな拓也に身を任せて。。2人は初めて結ばれるのだった。

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