第89話
やっぱり怒っている。
こんな兄さん初めて見た。。
「お前、今日も奴と会っていたのか?」
冷やかな声で直人は聞いてきた。
やっぱりバレていたのだ。
「兄さん聞いて。
彼は私が困っていた所に偶然車で通りかかって助けてくれたの」
「偶然ね。奴のやりそうな事だ」
彼女は心を落ち着かせながら台所に向かった。
「まだ話は終わってない!あいつは。。」
直人が大声で叫んだ。
怯む事なく台所から戻って来ると、手作りクッキーを彼に渡した。
「兄さんのバレンタインのクッキー。
今日中に渡したかったから」
若葉は下を向きながら手渡した。
直人はため息を吐いてそのクッキーを受け取ると、ゆっくりと床に置いた。
そして、若葉の肩を摘んで強い口調で言い放った。
「拓也とはもう2度と会うな。
あいつはエドヤ組の組長の息子だ」
「エドヤ組って。。?」
「うちの前若頭、、お前の父親を殺した組長の息子だ」
え。。?
私のお父さんを殺した?
若葉の顔色が真っ青になった。
崩れかけそうになった彼女の身体を、掴んでいた直人の手で自分の方に引き寄せた。
その時、若葉の首下のキスマークがはっきりと見えてしまった。
「お前、、まさかあいつと、、」
直人の抱き寄せた力が強くなって、若葉は思わず、痛い。。と声にでた。
「あいつに何をされたんだ!」
直人の粗い声が聞こえない程、若葉の頭の中は放心状態になっていた。
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