第38話

雄也の指示で、ホテルの女性スタッフが、ワンピースと下着類を何着か部屋に持って来た。

「紗代子さんの服の好みは大体分かってるつもりだけど、ちょっと違うタイプの服を選んでみたよ。」


雄也の言葉通り、今まで着た事もないワンピースばかりが目にとまった。


(こんな背中があいてるワンピースとか、丈が短い胸のはだけたワンピース、着れないわ)


紗代子はこれが雄也の好みなのかと呆れてしまった。


ベッドルームの部屋で何着が試着をし、その中で一番まともそうな服を選んだ。


それでも真っ赤なワンピースで、やはり少し胸の谷間が見えそうなものだ。


スタッフが、お揃いの色の下着、靴など一通りの用意もしてくれていた。


赤いワンピース姿の紗代子は、どこかのお嬢様みたいな装いに一人戸惑っていた。


(こんなワンピース、着た事がない。。)


「髪型のセットと、お化粧もして差し上げますね、こちらのホテルは結婚式場もしていますから」

「あ、有難う御座います」


紗代子は言われるがままにセットも全てしてもらった。


鏡を見ながら、全く違う自分がいるような感じがした。


「終わりましたよ、とてもお綺麗ですね。」

スタッフの女性がニコニコしながら言った。


セットが終わり、雄也のいる部屋のドアを開けた。

雄也がソファから立ち上がって紗代子をマジマジと見つめていた。


(恥ずかしい)


紗代子は赤いワンピースにビンヒール、肩まである髪をアップにしていて、まるで違う自分を見られているようで顔を背けていた。


「綺麗だよ。本当に綺麗だ」


紗代子の方に近づいてくる雄也から離れようとしたが、ピンヒールが絡まって倒れそうになった。

雄也が慌てて紗代子を支えて、抱きしめた。


「花に水を与えると綺麗に咲くと言うが、君は花よりも美しいよ。」


雄也は紗代子の顔を見ながら言った。


これで寮に帰れます。この服はおいくらでしたか?私が払います


「これは私からのプレゼントだよ。君にはもっと色々な物をあげたい。

今から食事に行こう。まだ返さないよ。」


雄也は紗代子の開いた胸の谷間に顔を埋めてキスをした。

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