第14話

直治に唇を奪われ、告白をされた紗代子。


彼女の中で直治は極道という2文字が頭を過った。

紗代子は強く抱きしめられている状態で、涙が溢れてきた。


彼女の涙を感じた直治は、紗代子の体を離し、顔を見た。


「どうした?痛かったのか?紗代子?」


直治は動揺した表情で紗代子に聞いた。


「いいえ、違います。

直治さん、私もいつからかあなたが忘れられなくなりました。

急な退院の話を聞いた時、悲しさが込み上げてきて。。私も直治さんが好きです。」

自分の本当の気持ちを直治に話した。


直治は紗代子の涙を手で拭いながら愛おしさを止められずまた抱きしめた。


「待ってください。私達は生きている立場が違います。

直治さんは極道ではないですか?私は極道の妻にはなれそうもありません。」


紗代子は悲しげにそう答えた。


「それで泣いていたんだな。」

直治は抱きしめていた体を優しく離し、紗代子をベッドに座らせた。


「確かに私は極道だ。イナス組の若頭という立場でもある。好きでなった訳ではないが。。

私といれば確かにお前は苦労するだろう。」紗代子はじっと直治の話を聞いていた。


「ただ、私の気持ちは変わらない。お前と一緒に生きていきたいと思っている。

女性に対してこんな気持ちになったのは初めてだ。」

直治はまた紗代子にキスをした。


「紗代子、今すぐでなくてもいい。私の伴侶になることを考えてもらえないか?全力でお前を私は守る」

直治の気持ちは固かった。


紗代子はまた涙が溢れてきた。


でもそれは悲しみの涙ではなく、とても嬉しい感情の涙だった。


「直治さん、少し考えさせていただけますか。

私は両親が他界し、この病院の院長にとてもお世話になっている身です。

私の父のような存在でもあります。看護師としての仕事の事もあります。」


「わかっているよ、ただ、一つだけ聞かせてくれないか」

直治は紗代子を見つめて言った。


「私の事が好きか?」

直治は真剣に聞いた。


「直治さん。私、直治さんの事が好きです。」紗代子は答えた。


「私についてきてくれないか、私と一緒に歩いて行かないか」


「ありがとう。あなたについていきます、いつまでも」


紗代子の気持ちも固まっていた。

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