第99話

「今日は私の家内も若葉さんに会いたいと言っているんだ。

直人、彼女を連れて離れに来てくれないか?」


「分かりました。後ほど伺います」


若葉の気持ちに反して話はどんどん進んでいく。


「彼女も少し疲れた様なので、私の部屋で休ませてきます」

直人はそう言うと、若葉を立たせて部屋を出た。

2人はしばらく無言で廊下を歩いていたが、直人から先に声をかけた。


「今まで黙っていて悪かった。

自分の立場も親父のことも。。お前が動揺すると思って言えなかった」


「。。。」


「組長はお前が孫だとは知らない。知っているのは親父とお袋だけだ。

いつかは話さないといけない事なんだが」


「。。私が孫だとわかったらどうなるの?」


「さあ、、組長がどう思うかわからない。それに、組の中に前若頭の事を嫌う奴等もいるから」


直人の部屋の前に着き、彼は引き戸を開けた。


「しばらく此処でゆっくりしていてくれ。女中にお茶を持ってきてもらう。

落ち着いたら離れの私の実家に行く」


「待って。お兄ちゃんのお母さんって。。まさかと思うけど。。」


「若葉から本人に聞けばいい」


直人はそう言うと、部屋から出ていった。

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