第98話
「組長、私は直人が連れて来た女性なら反対はありません。」
拓也はそう言って若葉の方を見た。
「そうか。直人には何度か女性を当てがってきたが、中々首を縦にふらんかったが、既に決めた女子がいたとはなぁ。
それならそうと、どうしてわしに話をせんかったんだ?組長である前にお前の祖父でもあるんだぞ」
拓也も賛成しているせいか、組長の言い方も穏やかだった。
「申し訳ありません。いずれお話するつもりでしたが。。
先程も言ったように彼女は住む世界が違う為に話す時期を考えておりました。
これから今の仕事を退職させて、組のしきたりを教えていくつもりです。」
「兄さん?何を言っているの?私は看護師を辞めるつもりはないわ。
兄さんもずっと私の事を応援してくれていたんじゃないの?」
若葉は直人の言葉が信じられないでいた。
「若葉さん、直人と一緒になるという事は、組を支えていくという事になる。
このイナス組は、他の組織も配下に従えているんだ。
生半可の気持ちでは務まらないんだよ。それに」
組長は、言葉を続けた。
「さっきから直人の事を兄と呼んでいるみたいだが?」
「彼女は私の事を兄のように慕ってくれていました。それだけです。」
直人はすかさず返事をした。
組長は若葉が元若頭の娘だとは知る良しもない。
直人のこの言葉で、彼に自分の存在を知らせるつもりはない事を若葉は感じ取った。
現若頭の拓也は。。自分の事を知っているのだろうか?
若葉は、今まで無知だった直人や組織の事を、こんな形で知る事になるなんて思っても見なかった。
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