第16話

直治のベッドはクイーンサイズの特注だったので、2人で横になるには充分な大きさだった。


紗代子もパジャマに着替え、直治のベッドの中に入った。


直治がずっと紗代子を眺めていた。


多分真っ赤になっているであろう紗代子も、戸惑いながら直治を見つめた。


直治の手が紗代子の髪に触れて、ぐいっと体を引き寄せた。


彼の腕の中で紗代子はゆっくりと目を閉じた。


直治の唇が紗代子の唇と重なった。


紗代子の胸が高鳴って、体が熱くなるのを感じた。


直治の心臓の音も聞こえて来た。


「直治さん、あの。。刺青は痛くないのですか?」

紗代子はずっと聞きたかった事を聞いてみた。


「これか?もう昔に彫ったからな、大丈夫だ。組を受け継ぐ時に刺青を彫ったんだ。

私の頭への決断には刺青が必要だった。」


直治は紗代子の顔中にキスをしながら答えた。


「組には敵が周りに一杯いる。内部でも休めない。親父はもう年だが、私がまだ力量がないから苦労をしている。」


「直治さんのお父様。。」

直治は頷いた。


「私には兄弟がいるが、みんな母親が違う。幸い仲良くしているが、私が本妻の息子だから継ぐことになった。」


紗代子はじっと彼の話を聞いていた。


直治の顔は険しかった。

どこか遠くを見ているようだった。


直治はふっと紗代子を見直し、再びキスをした。

今度は、力強く激しいキスだった。


紗代子は思わず吐息が漏れた。


唇が紗代子の首筋、胸元にいった。


「あ。。」


紗代子は直治の手を強く握り、されるがまま直治を感じたのだった。


2人の長い夜がふけていった。

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