第43話
直治は用意された車で紗代子がいる病院に向かった。
途中、院長に電話を掛けて今から行くとだけ伝えた。
紗代子に会って話がしたい。
頭の中はその事で一杯になっていた。
直治が病院に着いたのは丁度お昼過ぎだった。
裏口に車を止め、付き添って来た男衆と共に院長室に向かった。
部屋の前に着きノックをすると、院長自らドアを開けて直治を招き入れた。
「直治様、どうされましたか?何かありましたらこちらから伺いますのに」
院長はただ事でない直治の様子を察し、ソファに腰掛けるように促した。
「院長、すまない。いきなり押しかけて。
紗代子に会いに来た。雄也から話は聞いた。
院長は雄也が紗代子と付き合っている事をしっているのか?」
「。。直治様。
彼からは聞いています。
彼女を好きになったんだと。
私も紗代子君と雄也はお似合いだと言いました。」
院長は静かに答えた。
「何故だ?紗代子は?紗代子の気持ちはどうなんだ?
紗代子は私の伴侶になると約束したんだ。院長には落ち着いたら話すつもりでいた」
直治は院長に食ってかかった。
「直治様、落ち着いて下さい。
私も薄々二人がそんな風になっている事は分かっていましたよ。
ただ、直治様はいずれ組長に成られるお方だ。
紗代子君とは住む世界が違いすぎる。
雄也は紗代子君のそんな立場も含めて彼女を幸せにすると私に言った。
彼は組を辞めてまで彼女を守るとも言った。
紗代子君の事を思えば、私は雄也と幸せになって貰いたい」
院長は真剣な面持ちで答えた。
「院長、私だと彼女を幸せに出来ないだと?
私が組長になろうがそんな事はどうでもいい。私の伴侶は紗代子しか考えられない。
とにかく紗代子に会わせてくれ。
話をさせて欲しい」
直治は院長に頭を下げた。
その時部屋のドアが開いた。
そこには、雄也が立っていた。
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