第94話
「私はあの。。」
無理矢理此処に連れて来られたとも言えずに言葉に詰まっていると、余計に怪しく思ったのかズカズカと至近距離まで近付いてきた。
「お前見たことない顔だな。
ひょっとして新人の女中か?」
「えっと。。新人みたいな感じかなぁ」
若葉はドキドキしながら頷いた。
「そうか。最初からそう言えよ。
俺は勝って言うんだ。皆んなカツとかカッチンとか呼んでる」
「カッチンさんね。あなたも組の人なの?」
「さんはいらねーよ。カッチンでいい。
まだまだ下っ端だけど、いつか直人さんみたいなかっこいい極道になるのが夢なんだ」
「兄、いや。直人さんが憧れなんだ」
「女性ファンが多いからな。男でも憧れる。
お前も直人さん目当てで此処に来たんだろ」
「私は。。」
「言わなくても分かってるよ。
そうだ、まだ名前聞いてなかったな」
「私、若葉って言うの」
「若葉か。顔に似合わず可愛い名前じゃん。
新人なら多分フネさんか俺が教える事になるから宜しくな」
勝はそういうと、ポケットの中から鯉の餌を若葉に渡した。
「丁度こいつらの餌の時間なんだ。」
鯉は餌が見えたのか、さっきよりも激しく口を開け出した。
「俺はまだ掃除の途中だからまた後で。
あ、そうだ。
直人さんは結婚してないし女性には優しいけどあんまり興味ないみたいなんだ。だから。。頑張んな」
勝はそう言うと、ニコッと笑いながら走って行った。
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