第91話
「すまなかった。。痛くなかったか?」
直人は、裸で背を向けて泣いている若葉の髪をそっと撫でた。
さっきまでの荒々しさとは違い、普段の彼に戻っていた。
若葉は、直人の顔を見る事も、返事をする事も出来ずにいた。
兄と慕っていた人が自分の事を愛していたなんて。。
ただ呆然として涙が溢れて止まらなかった。
彼はしばらく若葉の髪を撫でていたが、急にベッドから立ち上がると、携帯を取り出し電話をかけた。
何かに吹っ切れた様な、そんな落ち着いた声に聞こえた。
「今から女性を連れて屋敷に戻る。女将に着物を用意するように伝えてくれ。
組長に結婚相手を紹介する」
嫌でもその電話の内容が耳に入って来て、若葉は思わずシーツで身体を隠しながら彼の方に向き直った。
「兄さん、何を言っているの?」
震えながら聞き返す若葉をよそに、直人は真剣な顔をして電話を切った。
そしてそのまま彼女の方に近づくと、シーツを剥ぎ取りもう一度身体を抱きしめた。
「もう決めた事だ。
お前は俺と結婚する」
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