第46話

その頃紗代子は、老人ホームに着いてそこでの仕事内容を施設長から聞いている最中だった。

老人ホームは広々としていて、周りの人達も紗代子を温かく迎え入れた。


「優秀な看護師さんが来るって聞いていたから楽しみにしていたのよ」


「優秀だなんて。。出来るだけお手伝いさせていただきます」


紗代子は答えた。


今日はとりあえず様子だけを見せてもらい、明日からの出勤となった。


紗代子は今日から過ごすホテルで荷物を置いて、ホテルに着いたらレンタカーを借りなければ。。と考えていた。


そもそもホテルは、老人ホームから車で20分程かかる所にあるからだ。


一通りの事を終え、施設長が紗代子をホテルまで送ってくれた。


「良いホテルよ。露天風呂が屋上にあって、とても素敵なの。今日は疲れただろうからゆっくり休んでね」


紗代子は施設長の優しさがとても有り難く思えた。


チェックインを済ませ、ベルボーイに案内をしてもらう途中で、店内の設備と買い物をする所を教えてもらった。


部屋の前に着き、ドアが開いた瞬間、紗代子はびっくりしてしまった。


中はこれでもかという程の広さがあり、室内には露天風呂とサウナもあった。


「あの、一人なのでこんな広い部屋は入りません。部屋を変えて頂けますか?」


紗代子はベルボーイにお願いした。

すると、彼はニコニコしながら

「こちらのお部屋は二人分という事で承っています。」

と答えた。


「二人分?」

紗代子は嫌な予感がした。


「二人とは、、もう一人は誰ですか?」


「雄也様でございます」


紗代子は頭が真っ白になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る