学園でイジメられてる俺は実は序列隠しの最強剣士 〜【固有能力・レベリングオーバー】で恨み晴らして調査と言う名の冒険に出掛けよう〜

XIS

第一章 肩慣らし&復讐編

第一話 偽りの俺

 『この世は剣技が全て。剣技により地位は決まり剣技により平和が保たれ剣技により生を謳歌する』


 そう決められたこの世界。俺はそうは思わなかった。それならなんで俺は今空を仰いでるんだ?説明がつかないだろう。


 俺の名はシーボ・イオナ。現在このフリード学園に通うレベル3の剣士である18歳だ。


 なぜ空を仰いでいるのか?それは簡単に言えばいじめられているからだな。いじめの原因は俺が剣士としてのレベルが低いからというそれだけの理由だ。


 フリード学園にはレベル3から入学が認められる。そして俺はそのギリギリのレベルに当たる剣士として才能がない生徒。普通、レベル3ならこの国で上位の才能を持った生徒なのだが俺は剣技をやってもダメダメで、知識だけがついていっている状態だ。


 いじめの内容は殴る蹴るといったありふれたもの。腰に下げた剣を抜けば校則違反となるため、そこまでしていじめられたことはないが近しい感じにボコられたことはある。木刀とか模擬刀で滅多打ちとか。


 俺をそこまでいじめる相手の名前はレベル4のイェルマン・シドウとスカーフ・トール、そしてレベル5のロドリゴ・リュート。レベル4はこの国の4.9%でレベル5にもなると0.1%としかいない天才の中の天才だ。


 この国の未来のために教育を受ける権利を得ることができた精鋭が集うからこそこういういじめは起きる。ホントにやめてもらいたいものだ。


 「ほら、ゴミクズ寝てねぇーで起きやがれ。あーすまん起きれないほどボコしたんだったなぁ!はっはっはぁ!じゃあな」


 そうして不気味に笑うトールとシドウを連れて教室を出ていった。


 「ったく……全く痛くねぇのに痛いふりをしないといけないのは疲れるな」


 肩をくるくる回して肩こりを少しでもほぐす。これは今日朝起きてからずっとこっているだけで、今ボコボコにされたからではない。


 「はははっ、全く君はいじめ慣れてきているじゃないか」


 気配を消していた俺の保護者兼この学院の理事長を務めるテンランが姿を現す。


 「慣れないと退屈だろ?逆にこんなつまらないいじめでどうやって痛くなれって言うんだよ」


 「そんなものなのかな?私は受けたことないから分からないよ。それより早く帰るんだよ。私はこれから君が行かない神傑会議に行かなければならないからね」


 「そうだな。そんじゃ帰るとするか」


 神傑会議とはこの国、ヒュースウィット王国の上位序列12名の剣士が集い自国について話し合う半年に1回の重要な会議だ。


 その12名はヒュースウィット王国最強であり、称して【神傑剣士しんけつけんし】と呼ばれ、圧倒的な力を持ち象徴となっている。フリード学園で憧れていない人はいないレベルの精鋭集団。


 全員がレベル6という異次元のレベルである。ちなみにヒュースウィット王国の人口は約5000万人いるが神傑剣士以外にレベル6は今のところ存在しない。それほどに至高の存在だ。


 学園を離れてテンランが戻るまでに家に帰ろうと足早に歩く。少し進むと広場に着く。するとすでに会議は始まっており、それを民衆が広場に置かれた投影機で見ている。


 「見て!テンラン様よ!今日もお美しいわ!」


 今日はテンランが民衆に向かって安堵の言葉を述べる日か。


 国民から信頼を得て、国民に安心を与えるために会議の前には神傑剣士の1人が民衆に言葉を放つ。意外とこれが人の心に響いてるようで、テンランが話し終わると「うおー!!」と騒ぎ出す。


 中々うるさい。


 そして会議は声をシャットアウトして始まる。国民に会議をやっていると伝えながらその内容は秘密にする。


 「今日も第7座の剣士様はいらっしゃらないのね」


 はいはいもうそれは聞き飽きましたよ。毎日学園でも聞くのにこんなとこまでもそんなことを聞いてたら耳にタコができてしまう。


 第7座の神傑剣士はここにいる誰も顔も知らなければ名前も知らない。知ってるのは他の11名の剣士だけ。この国で最大の謎と言われている人物である。


 そして、それと同時に序列無視の王国最強剣士とも言われている。


 理由は11名の神傑剣士全員が口を揃えて「あいつには勝てない」と言うから。それほどまでに実力差がありながらなぜ1座につかないのかというと序列に興味がないかららしく、神傑剣士になったときの7座から動かないのだと言う。


 なんとも欲のない剣士様か。


 ここにいても良いことはないのでさっさと足を進める。


 「先輩!」


 「ん?」


 声の方を向くとそこには1つ年下の俺専属刀鍛冶であるシャルティ・ニアがいた。これまたスタイルの良いことでなんでこんな美少女がいじめられる俺の専属になったのか、可哀想でしかたない。


 「先輩、今日もボコボコにされてましたよね?大丈夫なんですか?」


 「あーそれのことなら毎回言ってるけど大丈夫だよ。ほら、ピンピンしてる」


 「……ならいいですけど。ケガとかしたら私、泣き叫びますからね!」


 「大丈夫大丈夫」


 俺がケガをするとき……か、いつになるんだろうな。ボコボコにされたとこに痛みが蓄積すればワンチャン怪我するかもな。


 ニアはいつも心配してくれる優しい唯一の味方だ。俺の専属刀鍛冶として最悪な肩書がつきまとっているが、それでも離れない強いメンタルの持ち主でもある。なんでも勘で俺が成長することを信じてるらしく離れないとか。こんな完璧な美少女どこを探せばいるのやら。あ、目の前か。


 「とりあえず、違和感あったら冷やしたりケアしてくださいね!」


 「ああ、いつもありがとな」


 「はい。それじゃ」


 「んじゃ」


 俺と逆方向に走っていく。遠回りなのにわざわざこっちまで……。感謝しかないな。

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