第3話 ⭐出会い⭐


駅に到着して電車を降りると、同じ制服の生徒がたくさんいた。

(この波と一緒にいけば大丈夫だな。)

碧は同じ制服姿の学生達に続いて歩いていく。同じ中学からの友達と楽しそうに会話をしながら歩いている姿が、少し羨ましい。


「入学おめでとうございます」

学校の正門にはピンク色の紙の花で飾られた看板がたてられていた。


先輩たちの 華やかな笑顔で出迎えられる。碧は緊張していた。

「入学おめでとうございます!」

声をかけられるたびに、少しだけ頭を下げた。


案内に添って靴箱へ行き、上靴に履き替える。

(学校は違うのに、匂いはにてるんだ。)

靴を履き替える場所は、中学校と似たような匂いがした。

そして、名前を確認して教室を確認した。

1年3組 神﨑碧かんざきあお

碧はキョロキョロとしながら教室へ向かう。

突然、ドンッ!と誰かとぶつかった。

「ごめんなさい!」

背が高い碧よりも大きな体だった。

「こちらこそ、ゴメン」

(うわっ、漫画か!)と碧は思った。

漫画なら、超イケメンで瞬間に恋に落ちる……なぁ~んて事はなく、急いでその場を立ち去る。

背が高いというコンプレックスと自分の八重歯が嫌いな碧は、笑顔は見せずにペコリとお辞儀をした。まともに目線を合わせる事もなく、その場から離れる。

恥ずかしくてちゃんと顔を見れなかったが、優しそうな笑顔だった。


それが、桜木陽さくらぎ はるとの出会いだった。

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