第64話 ⭐審査通過⭐
『はい、ありがとうございます!頑張ります!よろしくお願いいたします!』
慌てて書かれたメモはぐちゃぐちゃとした文字だった。
『これ、読めるかなぁー』
陽は嬉しすぎてどうしていいかわからなくなった。
そして真っ先に碧に電話をした。
『碧ーーー?今少し話できる?』
『うん、どした?』
仕事中の碧に電話が繋がった。
『2次審査通過したんだよー!30人の中に残ったよ!!!やったよーーーー!』
『キャー、まぢで?おめでとう!嬉しい!頑張ったもんねー!』
電話の向こうから碧の弾けそうな笑顔が見えるような声が聞こえる。
『ありがとう!とりあえずレッスン行って報告して、むちゃくちゃ練習頑張ってくるわ』
陽はこの喜びを一番に碧に伝えたかった。
(やったぁー!がんばるぞ!)
と気合いを入れ直して、自転車をこぎ始めた。
『うん!いってらっしゃい!』
電話を切ったとたん、碧は嬉しくて泣いた。
『どしたー?彼、何かあった?』
『実は。。。』
職場の人には何も言ってなかった。
『えー!あの今テレビでやってるやつ?』
『FLY!!のオーディション残ったの?!』
『彼氏、凄いなぁー!』
職場でも大騒ぎになった。
『てことは、これからテレビに出る?』
『かもしれないですね。』
碧は自分の事のように嬉しくて、照れ笑いをする。
『うわぁー、サインもらっとこうか?』
陽のオーディション通過は、碧の職場も明るくした。
テーブルには陽の大好きなメニューを並べた。今日だけはカロリーやバランスなんて無視しちゃお!!
チーズを乗せたハンバーグに大きなオムライス。アボカドやチキンのサラダ。
デザートにはケーキも買ってきた。
(がんばれー陽)とホワイトチョコのプレートにメッセージも書いてもらった。
レッスンはこれからのオーディションに向けてメニューが組みかえられたようだ。
いつもより少し遅い帰宅。
『おかえりなさい、陽!おめでとう!』
『ただいま、碧!ありがとう!』
ふたりはハイタッチをして喜びをふたり分にした。
『これからも頑張ってこー!』
『うん、よろしくね!』
『さ、手を洗ってきてご飯にしよ!』
テーブルの料理を見て陽は嬉しそうだ。
『もー腹ペコペコ!!!!!』
陽は美味しそうにご飯を食べた。
碧も凄く嬉しくて、ふたりでたくさん食べた。
のんびりとお風呂にも入った。
ふたりで夢に向かってまた一歩進んだ。
その夜、碧は陽にぴとっとくっついて甘えた。
『ん?どした?甘えたちゃんなの?』
『いつもだよ』
碧は恥ずかしそうに答えた。
『おっきな赤ちゃんだな。』
(碧はいつまでたっても可愛いな。。。)
陽はギューっと碧を抱き締めた。
碧も陽にギューっと抱きついた。
いつもの夜、綺麗な三日月の夜だった。
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