第63話 ⭐連絡が来た日⭐
オーディションはやはりテレビで放送された。すごい注目されている。
陽もインタビューを受けているところがテレビで流れた。
陽はまだ帰っていない。
碧はひとりでテレビを見ていた。
そこには碧の知らない陽がいた。
少しだけ、陽が大人に見えた。
(凄い。陽はホントに夢が叶うかもしれない)
碧はなぜかそう感じていた。
オーディションから帰宅した陽は、それはそれは、テンションが高かった。
FLY!!のメンバーも会場に居たそうだ。
『すっげぇカッコ良かったんだよ!!!』
満面の笑みを浮かべて、目を真ん丸にして、
子供のように手を広げて喋っている。
『いーなぁー!』
碧もFLY!!は大好きだ。
高校生の時、部活の帰りにふたりで聞いていた、懐かしい曲。
『もうさ、俺を見てくれーって歌ったんだ!緊張はしたんだけど、何か気持ち良かったんだ。』
『サイン1号貰っといて良かった。』
碧は少しうつむきながら微笑んだ。
『ん?何か不安?』
陽はじっと碧の顔を見つめた。
『なんで?』
『んー、俺が有名になったら不安?』
『そんな事ないよ!陽の夢は私の夢でもあるんだから!』
陽は少しホッとしていた。
時々、碧を不安にさせてるのではないかと心配になる事があった。
『ありがとう!合格したとしても、俺たちは変わらない。ずっと一緒だから。』
『うん、知ってる。』
そんな会話をしながらいつものように二人で食事をした。
ただ碧は、秘かに感じていた。
陽はいつか夢を叶えられるから。
ふたりでこんな風にのんびりと食事をとる時間はなくなるかもしれない。
夢が叶うとはそういう事なんだと感じていた。
陽はいつものようにトレーニングジムの仕事を終えて、レッスンに向かっていた。
その時、電話が鳴った。
『桜木陽さんの携帯でおまちがいないでしょうか?』
『はい、桜木です。』
『先日はFLY!!のメンバーオーディションにご参加頂きありがとうございました。』
陽の心臓が大きくトクンとなった。
自転車を降りて、止めた。
『あ、こちらこそありがとうございました』
『358番 桜木陽様、2次審査通過いたしましたのでご連絡させていて頂きました。』
『え、え?ホントですか?』
(ぅわぁー、急に電話なんでビビる!)
『はい!おめでとうございます!つきましては、今後の流れの説明を。。。。。』
『あ、ちょ、ちょっと待ってく、ださい。』
陽は慌ててメモをとった。
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