第62話 ⭐2次審査⭐
FLY!!のオーディションは世間でも注目を集めていた。
2次審査からはテレビで取り上げられる事になった。
(358番 桜木陽です!全力で頑張ります!)
陽はスタッフに声をかけられて、コメントを撮って貰った。
テレビで流れるのだろうか。。。。。
最近、碧の発作は落ち着いていた。
仕事中もホントに軽い発作で、迷惑をかける事も減っている。
栄養バランスの整った新しいメニューを考えたり、職場でも楽しく働いた。
買い物をして、帰宅をする。
そして、食事の支度をして陽の帰りを待つ生活。
碧は、そんな当たり前の毎日がとても幸せだった。
陽が夢を追いかけている姿を一番近くで見ていられるだけで幸せだった。
一緒に食事をしたり、お風呂上がりに髪の毛を乾かしてくれたり。
陽はホントに優しくて、強くて。。。。
そんな陽の事を、碧は全力で陽をサポートしていた。
陽はジムのトレーナーの仕事をしながら、今はオーディションに向けてレッスンの時間を増やしている。
碧の事も少し心配だったが、夢を叶える為にできる限りの事はしたいと考えていた。
夜、家に帰ると温かい食事と碧の笑顔が待っていてくれる。
とても幸せで大切な時間だ。
そして、2次審査の日を迎えた。
今日の審査で残れるのはたったの30人。
『大丈夫!いつもの陽で行ってきて!』
碧はいつもよりキリッとした声で、気合いを入れて送り出そうとしていた。
『よしっ!いつものおにぎりもったし、はちみつドリンクもあるし!』
陽はいつもの陽だった。
『ふっっ、遠足かい?あ、陽。受付票もった?お財布とか、忘れ物ない?』
鞄の中を確認している。
『んー、大丈夫!持った!』
陽は忘れ物が多いのでチェックをする。
『無事に帰り着くまで待っててね!』
にっこりと微笑んで、陽は手を上げた。
『了解!気を付けていってらっしゃい!』
碧はベランダから陽を見送っていた。
(がんばれー)
後ろ姿を見えなくなるまで見送った。
ふと空を見上げると青く透き通った空に飛行機雲が残っている。
碧はしばらく、それを眺めていた。
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