第120話 第2章 ⭐あの日⭐
ドームツアーを無事に終えた陽は、打ち上げに参加せずに一足先に会場を後にした。
マネージャーに伝えた行き先は、以前碧とふたりで暮らしていたあの部屋だった。
碧の母親が教えてくれた。
陽の母親も知らなかった為驚いていた。
『碧ちゃん、辛くないのかなぁ。』
とても心配してくれていたようだ。
そして、懐かしく見慣れた部屋の前に陽は立っていた。
緊張しながらチャイムを鳴らした。
暫く間が空いて返事が聞こえた。
『。。はい。。。』
少し戸惑った声。
『遅くにすみません!お荷物のお届けです!』
(開けてくれるだろうか。。。)
陽は不安だった。
ゆっくりと扉が開いた。
『お待たせ致しました。』
碧がびっくりしている。目を見開いて。
『へっ??』と言って固まった。
『遅くなってごめん。ここにいたの?』
碧は言葉が出なくて固まっている。
陽は続けた。
『碧、迎えに来た!全部話は聞いたから。』
『何の話?』
『誰も教えてくれなくてさ。意地悪だな。
碧、置き手紙だけでいなくなっちゃうし。』
『だって。。。』
碧は涙でしゃべれなくなった。
『ごめん。ホントにごめん。遅くなってごめん。』
碧は泣きながら言った。
『陽は私のそばにいちゃダメなんだよ!』
『俺が碧のそばにいないとダメなんだよ!』
『だけど!。。。。。』
『碧に辛い思いさせてしまって、ごめん!俺知らなくて。何も知らなくて。』
陽は碧を抱き寄せた。
懐かしい陽の匂いだ。
また少し痩せたが鍛え上げられた陽の大きな体に包まれて碧は泣き出した。
『ずっとずっと寂しかった。ずっとずっと後悔してた。陽の顔を見ると離れられなくなるから、いない時に家を出るしかなかった。』
碧を抱き締めたまま、陽は声をかける。
『碧、痩せちゃったね。。。ごめんな、ホントにごめんな。。。』
碧はどうしていいかわからずに泣き続けた。
『碧?家に入ってもいい?』
碧は優しくて懐かしい陽の声にうなずいた。
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