第119話  第2章 ⭐サプライズ⭐

凛花先輩の披露宴は楽しかった。

みんなが出し物をしたり、ごく普通だが愛の溢れる式だ。

最後にみんなからのビデオメッセージが流される。

いよいよ、陽の出番だ。

司会者が言う。

『そして、最後にもうお一方から、メッセージをいただこうと思います。新郎新婦お二人の後輩、桜木陽さんです!どうぞ!』


薄暗い会場の中で、陽にスポットライトが当てられた。

会場にどよめきがおこる。

(え?桜木陽って?)

(桜木来てんの?)

(あいつって、B/じゃなかった?)

(えーーー!)

サプライズなので、大騒ぎになった。


ゆっくりと移動して、マイクの前に陽が立つと、会場中がザワザワと騒がしくなった。

『えー、菊池先輩、凛花先輩、ご結婚おめでとうございます!皆さん、驚かせてしまってすみません。

僕は今、実はB/というグループで活動させてもらってます!桜木陽です!お世話になった先輩方もたくさんいらして、ご挨拶が遅れましたが。。。お久しぶりにお逢いできて嬉しいです!』

と、陽は笑顔で挨拶をする。

昔は普通の仲間だったはずの陽は、手の届かない存在になってしまったようだ。


『キャー、陽!!!』

『オーーーー』

『今日はホントに短い時間しかいれないので。。。1曲、歌わせて頂いてよろしいでしょうか?』

『わーーー!』

パチパチパチパチ!!!!

『では、お二人の為に歌わせて頂きます!』


会場に陽の歌声が響き渡る。

とても明るくHAPPYな曲なのに。

新郎新婦の先輩方も、参列者も涙ぐんでいた。

サッカー部での想い出の写真もスライドショーで流された。

大きなおにぎりと一緒の写真に会場は笑いに包まれた。


碧も同じように感動していた。

陽は歌い終えると、

『いつまでもお幸せに!!!』

と言って席に戻ってきた。

それからしばらくして、マネージャーから連絡が入った。

『碧、ごめんな、俺、行かなきゃ!』

『うん、忙しいのにありがとう。気を付けてね。先輩には伝えとく!』

『宜しく!じゃね!!!』

陽は静かに会場を後にした。

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