第19話 ⭐雨⭐
目が覚めると、どんよりと空は暗かった。
こんな日の目覚めは何だか気持ちまでどんよりとしてしまう。
陽は重たい体を起こして、顔を洗いに行った。
(寝癖ヤバいなぁー)
髪の毛を水でびしょびしょに濡らしてタオルで拭いた。
食事をとり、学校へ行く。
『陽ー、お弁当!あと、傘持っていくんだよ、雨降るから。』
『おっ、サンキュ!行ってくる!』
『行ってらっしゃい!』
母親に見送られて、家を出た。
通りを走る車が水撒きをあげている音が聞こえる。
(。。。雨か。。。)
乱暴に扱われて骨が少し曲がってしまったビニール傘をさして歩く。
陽はいつも通り、学校に向かい門の前で碧の後ろ姿を探す。
(雨だし、時間がずれたかな。それとも休み?傘でよく見えねぇわ。。。)
傘に着いた雫が視界をさえぎる。
そのまま教室の席についたが、碧の姿はなかった。
(今日は欠席か。。。)
陽は何となく淋しかった。
その頃、碧は家に居た。
『碧、ご飯食べれる?少しでもいいから。』
『ぅん。』
あまり熟睡できなかった。
『念のため病院行くから休みますって学校には連絡しといたから』
母親は仕事を休んだようだ。
『ぅん。』
碧の顔色は少し青白く、元気がない。
食事を済ませ、母親の車で病院へと向かった。碧の表情は曇っていた。
昨日の夜は日記を書く事ができなくて、携帯を見ていた。
(息苦しい 震え 痺れ 発汗)
検索すると、いろいろな病気の名前が出てきて怖かった。
その中に"パニック障害"という文字があり、なぜかその言葉だけが頭の片隅に残っていた。
(まさかね、ただの貧血とかだといいな。ちょっと疲れていただけだよね。。。)
碧はそう思いながら、傘をさして歩く人達を車の中から眺めていた。
今日は背比べが出来なかったな。
碧を乗せた車は、時折水撒きをあげながら病院の駐車場へとたどり着いた。
『さて、行こうか。混んでるかなぁ』
母親は独り言のように口にした。
(ふーーっ。行かなきゃな。。。)
碧はゆっくりと車のドアを開けた。
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