第130話  第2章 ⭐撮影3⭐

コンコンコン!部屋をノックする。

『はーい!』

中から碧の声が聞こえる。

『碧?入ってもいい?』

『うん!いーよー!』


部屋の扉を開けると、碧が白いドレスで座っていた。

碧の伸びた髪の毛はハーフアップにされて白い花を飾ってある。残りの髪の毛はくるくると巻かれて、首筋の横に垂らしてある。


頭の上に飾られたレースのベールは恥ずかしそうな碧の顔を少し隠していた。

陽はしばらく見とれていた。


『ね、どう?大丈夫かな?』

『きれいだ、ね。』

陽は照れくさそうに言った。

碧は恥ずかしくてうつむいた。


『後ろ姿だけなのに、こんなにキレイにしてもらっちゃった!』

『碧?準備はいい?始まるよ、行こう!』

『うん。ホントに私で大丈夫かな。』

『碧じゃないとダメだよ!』

陽が笑顔で言った。


『ん?』

『いや、行くよ!』

そっと手を差し出す。

スタッフさんがドレスの裾をもってくれる。

『ありがとうございます。』

『いえ、とってもお綺麗ですよ』と笑顔で言って貰えた。

『ありがとうございます』

ニコニコとしながら陽と碧はセットの方に向かった。



音楽隊が演奏を始めた。

(すごくキレイな音。。。。。)

『ね、撮影ってもう始まって、る、の?』

セットに戻ってきた碧は驚いた。

目の前にB/のメンバーがこっちを向いて並んでいる。

『え?何?』

碧はびっくりしている。



すると、陽が碧の方を向いてゆっくりと跪いた。

『何?』

碧には何が起こっているのかわからなかった。



『碧、僕と結婚してください!』

『あ、え、?!は!、ん?』

陽は笑った。

『嫌じゃなければ(はい!)って、言ってほしいんだけど。』

『あ、はい!喜んで!』

その瞬間拍手が鳴り響き、音楽が大きくなった。



『おめでとう!』

『おめでとうございます!』

『おっめでとー!!!』

『おめでとうございます!!!』

B/のメンバーが一斉に声をかけてくれた。

(どんな撮影?)と碧は不思議に思った瞬間だった。



B/のメンバーが二人ずつ、左右に離れた。


すると、薄いピンク色の絨毯の両サイドに、凛花先輩やサッカー部のメンバーなどが並んでいた。みんなで拍手をしてくれる。

『碧、おめでとう!』


そして、陽と碧の両親もいた。

みんなが笑顔で2人を出迎えてくれた。

『碧、おめでとう!』

『碧ちゃん、すっごくキレイだよ!』

陽と碧の母親達は泣いていた。

『どゆこと?ね、陽?』


『俺達の結婚式が始まるよ!』


『え、何?もっかい言って?』


『これから、僕達の結婚式をするんだよ。』



その言葉に、碧は大粒の涙をポロポロと溢した。

メイクさんが飛んできて、優しく拭いてくれる。

『おめでとうございます!お化粧ぐずれちゃうから。』


涙を拭いて、メイクを整えてもらった碧は父親と腕を組んで歩いた。

その先には陽が待っていた。


今日はただの撮影ではなかった。

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