第16話 ⭐異変⭐

『ねえ、ちょっとーー!!!』

いつものグループだ。どうして1人の時には何も言わないのに、集まるとヒソヒソと話を始めるのだろうか。


『何でいつもスカシてんの?』

『桜木となんかあんの?』

『何でいつも黙って、笑いもしないの?』

(あーー、今日はいつもより激しいなぁーー)


『背だけは高いのになぁーんにもできなくない??ただのノッポじゃん』

顔を見合わせてアハハ!と笑っている。

耳障りな笑い声だ。

(ほらきた!まただ、ノッポ。。。)


『何か言いなよーーー』

黙っている私に対してイライラが募るのだろうか。

(やっぱり、私はただのノッポ。。。)

(あーうるさい。嫌だ。消えたい。)

(どっか行ってー、お願いだから。)


居心地が悪くなってきた。

教室の空気も重たくなってしまった。

(もう今日は帰ろう、聞いてらんないや。)

碧は荷物を持って教室を出ようとした。


『待ちなよー!』

誰かに、荷物を引っ張られる。

私の体はグラっと揺れて引き戻された。

『何にも答えてくれないじゃん!』

『なぁに?ノッポのくせにシカト??』

今日は誰も来てくれない。


陽はグランドでキラキラした笑顔でボールを追いかけているから。

『…シカトじやない。帰らせて。』

碧は震える声で言った。

『笑えるー声ちっさー!!!』

笑われてる。また、こんな風になっちゃうんだ。。。

"ガーーン"と誰かが机を蹴って、皆で笑いながら教室を出ていった。

笑い声は少しずつ遠ざかっていく。


(はぁ、辛い。辛いよ。はぁ。。。)

碧の心臓はバクバクと暴れているようだ。

(何これ…しんどい…苦しい…誰か…)

碧は息がしにくくなって、手が痺れるような感じがして、その場に座り込んだ。

立ち上がれない。誰か助けて。。。

涙がポロポロと流れても拭う事もできない。

『はぁ。はぁ。はぁ。』苦しい。

息が出来ないし体が震える。

それはしばらく続いた。

碧はグランドから聞こえてくる色んな音を遠くに感じながら動けずにいた。


どれくらい、苦しんでいたのだろうか。

少しだけ息ができるようになった頃、廊下を通りかかった先生が声をかけてきた。

『神﨑?どうした?大丈夫か?』

『怖い…助けて…せんせ』

碧は気を失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る