第17話 ⭐天井⭐
しばらく寝ていたのか。
碧が目を覚ますと天井が見えた。
ん?ここ、どこー?
『大丈夫?』
優しく声をかけてくれたのは、保健室の白石先生だった。
肩まである黒い髪の毛を片方だけ耳にかけながら、私の顔を覗いている。
『何かあった?汗びっしょりだったし、震えてたし。びっくりしたよ?』
『すみません。。。』
碧が起き上がろうとすると、
『横になってたほうがいいよ!お母さん、迎えに来てくれるから。安心して』
と、優しく促される。
『はい。。。』
碧は仕方なくそのまま横になった。
白石先生は私が横になっているベッドの脇にパイプ椅子を持ってきて座った。
不安にならないようにと、声をかけてくれている。
『どうしたの?体調悪かったの?こんな風にいつもなるの?あ、ごめんね。いっぱい聞いても答えられないね』
(白石先生、ありがとう。)
でも、碧も混乱していて何から説明すればいいのかわからなかった。
そんな私の様子を見て、声をかけてくれる。
『お水か麦茶ならあるけど、飲む?』
『ありがとうございます、今は大丈夫です』
(そう。。。)と、優しく頷く。
白石先生は横になっている私の体の傍に肘を置いて、私の手を優しく包んでくれた。
温かく柔らかい手。
私は大きな手で、先生の手は小さくて可愛いくて羨ましい。。。。。
そんな事を思っていた。
その時気付いた。
碧の大きな手はまだ小さく震えていたのだ。
しばらくすると廊下を騒がしく走る足音が近づいてきた。
そして、保健室の扉が開いた。
『碧!大丈夫?病院行こうか?熱は?』
母親は慌てた様子で迎えにきてくれたようだ。
髪の毛が乱れている。
白石先生は優しく母親に説明をしてくれた。
『熱はなさそうです。苦しそうに震えて、教室で動けなくなってたみたいで。。。』
少し落ち着きを取り戻して、ふーっと息を吐き白石先生の方を向いた。
『すみません、ご迷惑おかけして。。。』
母親は白石先生に頭を下げた。
『いえ、とんでもない!少し落ち着いたようですし。とりあえず今日はゆっくり休んでね、神﨑さん。』
と、ベッドに横になったままの私に白石先生が声をかけてくれた。
『碧、帰ろうか。』
コクリと頷いて、ゆっくりとベッドにすわった。
碧は母親に支えられながら保健室を出た。
『車で来て良かったー』と話す母親の声。
少しホッとしたのか、碧の震えは少しずつ落ち着いてきていた。
(何だったんだろう。。。)
碧はゆっくりと車に乗り込んだ。
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