第31話 ⭐ピピーッ⭐

陽の蹴ったボールはネットを揺らした。

メンバーから頭をワシャワシャとされたり、肩を叩かれたり。陽は嬉しそうだ。

その後も試合は続き、試合終了の笛が鳴る。

『ピッ、ピッ、ピー』


残念ながら、1点差で負けた。

『まだまだこれからだぞ!』

『学校に戻って休憩してから反省点のチェックするぞ!はい、切り替え!』


学校まではみんなでワイワイガヤガヤといつも通りに戻る。

『ゆっくり休憩して、あとで集合なぁ』


学校のグランドの日陰を探して座る。

『碧、お昼ごはん食べよ!』

『うん。はい、これ!』

母親に手伝ってもらったお弁当を広げる。

『うわぁーうまそー!!!』

食べるの大好きな陽はテンションがあがった。

『それと、これ!』

あの大きなお握りだ。

『うわぁー!』

『でっか!』


その声に、他の部員達も反応した。

『何?なんだ?』

『ぅおー、すげーーーー』

『ちょちょ、写真撮ろうぜ!!!』

部員達が集まり、凛花先輩も一緒に。

陽は大きなお握りをもって笑い、碧も隣で笑っている。

みんなが笑っている最高の記念写真。

『陽専用お握りだな』

皆は笑い、陽はお握りをカブリと食べる。

『あ、シャケ!』


皆が陽が食べているのを覗いている。

『こっちは?』

『んー、昆布!』

『めっちゃ、凄いやん!いーなぁー陽』

『おかずもたくさんあるよ!』

碧は母親が用意をしてくれたタッパーを広げ、部員達もつまむ。

『あ、やめろ!俺のだ!』

陽は大きなお握りを頬張りながら必死で阻止しようと頑張る。

『私も!』凛花先輩も参加する。

(良かった!楽しい!)

碧は八重歯を忘れて笑った。

その日の写真は碧の一生の宝物になり、その日の日記に添えられた。

『碧、ありがとう』

やっぱり陽の笑顔が眩しかった。


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