第43話 ⭐病院⭐

碧は病院の処置室の前に座っていた。

引率の教師は陽の家族に連絡をしに行った。

(陽。。。陽。。。)

碧の震える手には陽の血液がついたままだったが、何もできずにいた。

(何かあったら、どうしよう。。。)

不安でたまらない。

大粒の涙が溢れている。


『神﨑、桜木のお母さんと連絡がついたから、もう大丈夫だ。ここは病院だし。神﨑も落ち着いてきたか?』

『先生、すみません。』

『いやぁ、誰でも取り乱すよ。』

先生は温かいココアを碧に渡してくれた。


『あ、桜木です!ご迷惑おかけしました!』

と、陽の母親が駆けつけた。

処置室に呼ばれて入っていった。


しばらくするとベッドに横たわり、点滴に繋がれた陽が運ばれて移動した。

碧は一緒に行っていいのかわからずに困っていた。

すると陽の母親が、碧に声をかけてくれた。


『あなたが神埼碧さん?』

『はい。陽、、、桜木くんはどうなるのですか?大丈夫ですよね?』

『今から緊急で手術になったのよ。』

『手術?』

陽のお母さんは、私の背中に手を添えて、

(あっちよ)と、連れて行ってくれる。


『あら、血がたくさんついて。。。洗いにいきましょう。心配かけてごめんなさいね』

陽はお母さんに似たのかな、優しい声。

ホントは心配でたまらないから陽のところに居たいはずなのに。。。


陽のお母さんに連れられて、近くのトイレに行った。

水道の蛇口から出てくる水を見て、碧は我慢できずに泣いた。


『怖かったよね、ありがとう、ありがとう』

陽のお母さんは碧の手についた血を石鹸で綺麗に優しく洗いながら言った。

『私も怖いけど、お医者さんに任せましょう!陽を信じて待ちましょう、ね!』

碧は泣きながら頷く事しかできなかった。




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