第36話 ⭐広場のカフェ⭐
電車に揺られて少しだけ離れたおしゃれな街に出掛けた。
陽は黒いパンツに紺色のシャツ。
髪の毛はいつものようにサラサラと風に吹かれた。
陽と碧が通りすぎると、みんながチラリと振り返る。
陽は背が高い上にイケメンだし、碧の持つ雰囲気は柔らかくて美しい。
ふたりは少し散歩をして、広場にあるカフェでランチをする事にした。
陽は子供のような顔でメニューを選ぶ。
『陽の胃袋はどうなってんだろ』
『自分でも思う』
慣れないお店で少し緊張していた。
注文を済ませて料理が来るのを待つ間に碧は持ってきた紙袋を陽に渡した。
『はい!お誕生日おめでとう!』
陽は嬉しそうに受け取った。
『ありがとう!開けていい?』
うんうんと、碧は頷いてみせる。
『おーーっ!気持ちいい!!え、待ってー!名前入ってる!!!』
陽の大きな目がまん丸になった。
『うん、陽はすぐなくしちゃうから。』
碧はいつも探し物をしている陽を思い出して笑っている。
『そ、そんな事ないよー』
陽が広げたのは、キレイな空色の柔らかいタオル。
嬉しそうに手を伸ばして青空に向けて翳している。
1度タオルを借りて、汚れたまま返してしまった事を碧は気にしていた。
部活で毎日使ってもらえるし。すぐに物をなくしちゃうから名前も"HARU"と刺繍してもらった。
『キレイな色だな!毎日使う!ありがと!』
陽はキラキラと笑って眩しかった。
そんな陽を見ているだけで、碧は温かく幸せな気持ちになる。
(ずーっと一緒にいてね!)
碧は心の中でそう呟いた。
食事のあとは、お店を見て回ったったり、キレイな公園を散歩したり。
少しずつ秋の風が吹いていた。
ベンチに座ってたくさん話をした。
そして碧は勇気を出して自分から陽にくっついてみた。
自分よりも大きな体、鍛えられた筋肉を感じてドキドキしながら。。。。。
『碧、そんな可愛い事をしてくれんの』
嬉しそうに陽は口にした。
陽はわかってくれている。
碧は背が高くて可愛くないと自分では思ってしまっている事を。
碧の心は清らかでとても優しい事を。
そして、本当は誰よりも甘えたい事を。
『甘えん坊』
陽は照れながら、そっと碧を両腕で包んだ。
『碧、大好きだよ』
『ん、私も。。。』
夕陽に照らされながら、二人はいつまでも寄り添っていた。
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