第59話 ⭐仕事中⭐

陽は今、オーディションにいっている。

碧はお昼休みのお弁当をたべながら、ソワソワしていた。

そりゃそうだ!陽は今、人生で1番のチャレンジをしているのだから。

碧は誰よりも陽の事を信じていた。

(陽は絶対大丈夫!!)



ソワソワはやがて不安に変わり、パニック発作を起こしてしまう。


パニック障害とも少しずつうまく付き合えるようになった碧は、早めに薬を飲む。

酷ければ仲間に相談して落ち着くまで傍にいてもらったり、酷くなる前に帰らせてもらう。職場のみんなが理解をしてくれて助かっていた。



今日は少しずつ落ち着きそうなので仲間の傍で休ませてもらった。

『神﨑さんは彼氏と一緒に住んでるんだっけ?ケンカとかしないの?』

落ち着くようにたわいもない会話をしながら気にかけてくれる。

職場の人は皆が理解をしてくれているので助かっている。



『たまーにですけど、喧嘩はしますよ。』

少し震えながら、碧は答えていた。


そう、陽と碧は本当に数えるくらいしか喧嘩をした事がなかった。

原因はだいたい陽だ。ふたりは何もない週末は映画を見て過ごすのが好きだった。

『ね、碧、今日はこの映画見ようよ!』

とお菓子とコーラをテーブルに並べて映画を見るのだが。

陽が(見たい!)と言った時ほど、陽は途中で寝てしまう。

高校生の頃からだ。


可愛らしい喧嘩だ。




『あ、私、お迎えに来てくれた時に見たことあるー!背が高くて超イケメン!!!』

(バレてたのか。。。)

と、碧は少し焦ったが、自分が誉めて貰えたようで嬉しかった。


『すっごくお似合いだよねー!』

『いーなぁー』

『うちの旦那と交換する?』

『あんたんとこもお似合いだよー!』

『えーーーー』

そんな会話を聞きながら碧はしんどいながらも少し笑った。


優しい陽の笑顔を思いだして、少しずつ発作は落ち着いてきた。

『さて、続きやります!』

『無理しないようにね!』

『ありがとうございます』


ほんの少し辛かったが、何とか仕事を終えて、家に帰った。


ちょっとまだ少しふらふらとする。。。

(ご飯作って待っててあげなきゃなんだけど。。。ちょっとしんどいなぁ。。。)

碧はソファーで少し横になった。

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