第32話 ⭐突然⭐
ミーティングも終わり、それぞれの帰り道。
みんなと別れて陽と碧は並んで歩いていた。
碧は何となく心がザワザワとしてきている。
初めて経験する試合に向けての準備や、早起きして作ったお弁当。
今日は1日楽しかったはずなのに。
何だろうか、少しずつ体調に異変を感じ始めていた。
軽くなったお弁当箱も陽が持ってくれているし、あとは帰るだけなのに。
陽との会話にぼんやりとしか返事ができない、体もふわふわとして力が抜けそうだ。
これはヤバいかも。。。
『陽、私ちょっと。。。。。』
碧の声に陽が反応した。
『どした、しんどいか?休もう。そこに座ろう。』
陽は片手に荷物を持ち、反対の腕で碧を抱えるようにして、人気の少ない道の端のほうに連れていってくれた。
碧の手が震え始め、呼吸もおかしくなった。
『とりあえず薬飲もうか!』
と陽は声をかけるが、碧の呼吸は苦しそうで薬を出せない。
陽は声をかけ続ける。
『大丈夫、大丈夫!薬はどこ?』
碧は震える手でポケットを押さえた。
陽はポケットから薬を取り出し、碧に飲ませようとしたが、呼吸が乱れすぎて飲める状態ではない。
(そうだ!紙袋だ!)
陽は碧の病気をネットで調べて最低限の対処ができるようにしていた。
紙袋をいつも鞄に入れていた。
『これ口にあてて!少し落ち着いたら薬を飲もう!』
陽は震えて苦しそうな碧を自分の胸に寄りかからせて、体をさすり続けた。
ほんの少しの合間をみて薬を何とか飲ませた。
陽が知っているいつもの軽い発作とは違う。
陽は碧をさすりながら、碧の携帯で電話をかけた。
『突然すみません。碧さんが体調悪いみたいで。』
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