第46話 ⭐冬から春へ⭐

『さむっ!もうこんな季節になってしまったのかー。』

陽が喋ると、口から白い息が見える。


『そだねー。もう冬だよ。』

『今日から部活も復活だからなぁー』

陽は両手を上にあげてうーんと体を伸ばす。

『無理しないでよ!』

『陽、復活かぁー』

『また楽しくなるぞー』

陽はリハビリを終え、退院して学校にも戻ってきた。


碧はまたサッカーをしている陽が見れるようになり、胸がときめいていた。

やっぱり好きな事をしている陽はキラキラとしていて、碧は大好きだった。

『今日はランニングとストレッチぐらいにして、あとは見学!』

『えー、マジか!!!』

『先生からの伝言!それと、マネージャーからの指示です!』

『ちぇっ。。。』

それでも陽は嬉しそうに仲間達とランニングとストレッチをして、あとは足でボールを転がしながら見学をしている。

(久しぶりだなぁーボールの感触)

陽は内心焦ってはいたが。。。

毎日部活に参加をして少しずつ少しずつメニューを増やし、本格的に練習に参加するようになった。



ただ、練習試合などで陽はなかなか以前のような活躍ができなくなっていた。

(くそっ!!)

最前線で活躍できない。。。。。

守備位置を変更したり、何とかチームに貢献しようと陽は必死だった。

そんな陽を碧はそっと見守り応援し続けた。


お正月が過ぎ、3学期を迎えた。

(以前のようなプレーが出来ない)

陽は苦しんでいた。

ボールを追いかける陽の元気がない。

碧は心配していた。



そして春休みになると陽は部活に来なくなった。

(陽、どうしたの?)

(悪い、ちょっと体調悪いかな。)

ラインのやり取りも素っ気ない。

(お見舞いに行ってもいい?)

(いや、風邪をうつしてしまうのは嫌だから。)



そして、その次の日からラインの既読もつかなくなった。




短い春休みだが、陽と会えない時間は長く感じていた。

碧がラインやメールをしても電話をしても繋がらない。

碧は泣いた。陽が苦しい時に傍にいてあげられなくて悔しくて泣いた。


陽もまた、泣いていた。サッカーが出来ない悔しさと、碧を守ってあげたくても守れない自分が情けなくて泣いていた。

二人は会えないまま、新学期を迎える事になるのだろうか。。。。。

碧は不安なまま春休みの最終日を迎えた。


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