第48話 ⭐相変わらず⭐

碧はサッカー部のマネージャーを続けていた。

陽はサッカー部を辞めた。

ただ、時折遊びのように参加したり、碧の手伝いをしたり。。。

結局ほとんど一緒に過ごした。

碧は相変わらず、パニック障害の軽い発作に襲われて薬を手放せないでいる。

そんな時は陽は必ず傍にいて碧が落ち着くのを待ってくれる。


たまに一緒に行くカラオケ。

碧は陽の歌声が大好きだ。優しくて暖かくて透き通った声。

『ホントに陽の歌声は心に染みるー』

『マジか!!!』

カラオケボックスでたまたまやっていたオーディションに興味本位で応募してみた。

結果は全然だったが、陽はその頃から歌う事が大好きになっていた。

皆が進路を決める頃、陽は悩んでいた。

(歌をもっと真剣にやってみたい。。。)

(オーディションを本気で受けたい)

陽は何故かワクワクしていた。

陽は思いきって進路希望の用紙を白紙で提出した。


碧のサッカー部のマネージャーももうすぐ引退だ。大事な試合の時は、あの大きな大きなおにぎりを作って皆に差し入れをする。

碧は皆が喜んで食べてくれるのを見るのが楽しかった。

特に陽は誰よりも美味しそうに、たーくさん食べる。

(栄養とか勉強してみようかな。。。。。)

碧にもぼんやりと目標が見え始めていた。




3年生の引退試合。

部員達も力の全てをボールにぶつける。

ホイッスルが鳴り、碧のマネージャーも終わった。

いつものパン屋に皆で行き、ワイワイと騒ぎながらパンを食べる。もちろん、陽も参加している。

帰り際に皆で整列して挨拶をかわす。

『お世話になりました』

『これからも頑張れよ!!!』

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