第24話 ⭐入部⭐

碧は放課後に職員室を訪ねていた。


サッカー部の顧問の先生と話をした。

そして、サッカー部のマネージャーをしている先輩とも話をした。

『良かったぁー、マネージャー大変なのよ』

『あ、でもルールとか全くわかりません。運動も苦手なので。。。』

碧は少し言葉を濁す。


だが、明るい先輩が声をかけてくれた。

『大丈夫よ!私もそうだったし。マネージャー希望の女子はいたけれど、何だか好きな子の事しかしないとか、ワガママばっかりで困ってたところだし!先生、いいじゃん!』

『加納、色々面倒見てやってくれるか?』

『私で良ければ!』

『よし、じゃあーやってみるか!』

と、あっさりと碧のマネージャーは決定してしまった。



『よろしくお願いいたします。』

『こちらこそー!私は2年の加納凛花。』

加納凛花。。。先輩は明るくてポニーテールの似合う小柄な、可愛い先輩だった。

(羨ましいなぁ、背が小さくて可愛い。。。)

『さっそく今日から見ていく?慣れたらいろいろ手伝ってねー!碧ちゃん!!』

小柄な凛花先輩は、腕を高く上げて碧の肩をポンッと叩いた。



何をすればいいのか、どこにいればいいのか、そんな事も何もわからないまま碧のマネージャーとしての1日目はスタートした。

放課後にいつも教室から見ていた景色の中に私がいるんだ。。。

何だか不思議。。。

そして着替えてやってきたサッカー部員達。

『おっ、新しいマネージャー?よろしく!』

『神﨑碧です!宜しくお願いいたします。』

緊張していた。


『ちびっこ凛とは全然違うなぁ。』

先輩が茶化して言った。


『うるさいなぁー。優しくしてあげてよ!』

加納先輩は優しい先輩のようだ。


そしてそこに陽もやってきた。

碧の姿を見て嬉しそうに片手をあげた。

『おっ、来たねー』

陽は相変わらずの笑顔で迎え入れてくれた。

碧には今日から、居場所が1つ増えた。

いつも教室から眺めていたここは、思っていたよりも柔らかい空気だった。

ただ、碧はポケットに発作が起きた時に飲むお薬を入れておいた。


(大丈夫、大丈夫。。。。。)

心の中で必死に唱えた。


まず、部室の場所、道具の場所を教えてもらう。そして部員が居なくなった後に、部室の簡単な片付けをする。

『基本は全部、個人責任でやって貰うから、ゴミ出しとか簡単な事だけだし。ゴミをまとめて、重ければゴミ出しは誰かにお願いしちゃえばいいよ!』

凛花先輩は、可愛いくて優しくて、本当に良かったと碧は安心した。


そして、残りの時間は部員の練習をじっと見つめていた。

砂埃をあげながら走ったり、ボールを追いかけたり。


碧の学校生活に、ほんのりと色が付きはじめ

た。


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