第115話 ⭐ぼくの声で⭐
ぼくの声で
ーーーーー ーーーーー ーーーーー
不器用にふたり並べた夢の欠片
集めたらきっと大きな愛になると
忘れられないメロディー口ずさんだ
爽やかな風はいつも優しく
君の笑顔を連れてくる
夕陽はいつも静かにふたりを見守る
笑顔の数だけ僕は強くなれる気がした
言葉は時に見えない傷跡を残し
知らず知らずに傷つけた事もある
不安な時は思い出して 僕がいるから
あの日流した涙もきっと
いつか思い出にかわる
だから僕は歌い続ける
例えばこの声が枯れてしまっても
この歌で君に寄り添えるように
虹の橋を渡っていった夢の欠片
またいつかきっと戻って来るはずだと
隠しきれない哀しみを連れたまま
降りやまない雨は時に冷たく
君の笑顔を曇らせる
空は時折意地悪でふたりを濡らす
涙の数より僕は強くなるはずだった
愛は無償で見えない足跡を残し
そのぬくもりに気付く事もなかった
不安な時は思い出して 僕がいるから
辛く苦しい日々もきっと
いつか思い出にかわる
だから僕は歌い続ける
例えばこの声を失ってしまっても
この歌で君を包み込こむように
この広い世界の中で巡り逢えた奇跡
今この一瞬はとてつもなく尊い
これから綺麗な花を咲かせよう
誰も知らない美しい花を咲かせよう
不安な時は思い出して 僕がいるから
あの日流した涙もきっと
いつか思い出にかわる
だから僕は歌い続ける
例えばこの声が枯れてしまっても
この歌で君を包み込こむように
例えばこの声を失ってしまっても
この歌で君を包み込こめるように
ーーーーーー ーーーーーー ーーーー
曲が終わるとメンバー1人ずつ挨拶をして、
ステージから降りていった。
しっとりとした優しい気持ちに包まれて、ドームツアーの初日は終了した。
ステージから降りたメンバーはハイタッチをした。
『最高によかったな!』
『陽の曲すげぇな!やったなぁー』
『泣いてる人、いっぱいいたわ!』
『ありがとう!』
『この調子でドームツアー駆け抜けようぜ』
『おっ!』
ライブが終わっても、碧はすぐに立ち上がれなかった。
頬を伝う涙はしばらく乾かないままだった。
『お客様、どうかなさいましたか?』
心配した会場のスタッフが声をかけてくれた。
『あ、いえ。』
『そろそろご退場お願いいたします。』
『はい。すみません。』
碧はゆっくりと会場を後にした。
碧は母親の車に乗り込んだ。
『碧、大丈夫だった?』
『うん。』
何だか夢の中にいるようなままだった。
『どうだった?』
『素敵なライブだったよ!』
碧は車の窓から、外を眺めている。
『そう。良かったね!』
『お母さん、ありがとう!』
『なあに?突然。』
『ライブ楽しかったから。』
と、少し笑顔を見せた。
その碧の笑顔を、母親は久しぶりに見た。
(トゥール、るー、ぅー)
碧が鼻歌を歌う。
『何?ライブであった曲?』
『うん。新曲!』
碧の母親は、にっこりと微笑んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます