第25話 ⭐マネージャー⭐
碧の学校生活は少しずつ明るい色に染まってきていた。
もちろん授業中は変わらない。教室では相変わらずヒソヒソと陰口は続いていたが、部活に行くと仲間と思える人達と過ごせるから。
そう思うだけで、少し救われる。
休憩時間には、陽と少し会話をするようになっていた。
お陰で陰口はあまり気にならなくなった。
ただ、軽いパニックの発作が彼女を襲う時がある。
そんな時、碧はこっそりとポケットから薬を出して飲む。
今のところ、この前のような大きな発作に襲われる事はなく、サッカー部のマネージャーとして放課後は活躍した。
基本的には雑用だ。
部室の整理。
『飲みかけのペットボトルは容赦なくゴミ箱行きね!!!』
凛花先輩に教わった通り、毎日何かが放置されている。
碧は凛花先輩の真似をして容赦なくゴミ箱に入れた。
その後は、部員達と一緒にボールを拭いたり。
ルールを教わったり。
練習中の水分補給のお茶などを用意したり。
ほつれたゼッケンを縫ったり。
何より陽がボールを蹴っている姿を以前よりも近くで見ていられる。
その頃の陽は体も引き締まり、サッカーも上達していた。
少しずつ女子の視線を集めるようになっていた。
陽の事を目当てで見学に来る女子も増えた。
本人は相変わらずの天然ぶりで、そんな事には気付かないでいる。
部活が終わると片付けを一緒にして、パン屋に一緒について行く事もあった。そしてそのまま駅まで陽と話をしながら歩いて帰宅することも増えてきた。
陽も碧も身長が高い為に、二人でいるととても目立つ存在になっていった。
その頃の碧は少しずつ、自分の気持ちに気づきはじめていた。
(桜木くんの事を好きなのかなぁ)
まさかね、と自分の気持ちに蓋をする。
その頃の碧の日記はサッカー部や陽との些細な出来で埋まっていた。
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