第35話 ⭐誕生日デート⭐
今日の碧は朝からバタバタと騒がしい。
陽の誕生日だからだ。
二人で過ごす初めての誕生日。
しかも、学校も部活も休み。
『ねぇーお母さん!どっちがいいと思う?』
片手には白いパンツ、もう片方に水色のプリーツスカートを持ってユラユラとさせて母親に見せる。
『えー、まだ決まらないの?』
碧は服装に悩んでいた。背が高い碧はスカートやパンツの丈が合わない事が多い。
可愛い服は袖が短くてダメだったり。。。
母親は碧とユラユラさせられている服を見比べた。
『んー、パンツにしたら?シュッとしてカッコいいよ!!!』
『カッコいいではなくて、可愛いくなりたいの!んもー!!!』
碧はほっぺを膨らませている。
『碧、自信もっていいと思うけどなぁ。陽くんも背が高くてカッコいいから、一緒に歩いてカッコいいカップルって凄くなーい?』
(お母さん、真面目に考えてるのかな。)
『じゃぁ、上は?こっち?こっち?』
今度はシャツを持ってきた。
何ともバタバタとした休日だ。
『そっちかな!』
『一回、着てみる!』
白い細身のパンツにTシャツ、さくら色の薄いシャツを羽織って碧は待ち合わせ場所に向かった。
斜めに肩からかけられた小さめのバックは母親がくれたものだ。
『今日の服にピッタリ!碧にあげる!』
鏡の前でゆっくりと回ってみた。
(うん、ほんとだ!可愛い!)
そして、普段とは違うキレイなサクラ色の艶々とした唇ににっこりと微笑んだ。
猫背だった碧は『背比べ』のおかげなのか、陽と一緒にいて少しずつ姿勢が良くなってきた。
『行ってきまーす』
と跳ねるように出掛けていった。
陽は先に待ち合わせ場所にいた。
背が高いので、すぐに見つけられる。
こちらに歩いてくる碧を見て息が止まりそうになった。
(碧。。。キレイだ。。。)
恥ずかしくて言えないな。。。。。
『待ったー?ごめーんごめん!』
と八重歯を忘れて笑顔で駆け寄ってくる碧を見て陽の心拍数が上がっていった。
『いや、時間より早いよ!』
陽は照れくさくて、真っ直ぐに碧を見ることができない。
スラリとしたバンツ姿、さくら色のシャツは碧にとっても似合っていた。
休日なので、髪の毛も結んでいない。
風が吹くと碧のシャツと髪が揺れて、陽の心の奥の方がトクンとした。
陽はそっと碧の手を握った。
碧は驚いたが、陽の手をそっと握りかえす。
(やっぱり陽の手は私より少し大きい)
碧は嬉しかった。
お誕生日に手を繋ぎ、これからデートが始まる。
『行こっか』
『うん』
二人の後ろ姿は恥ずかしさと幸せでキラキラと輝いていた。
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