第6話 ⭐教室2⭐

「神﨑碧」

「……はい」

(神﨑碧っていうんだ。)

陽は少し恥ずかしそうにうつ向く碧をチラリと見た。皆の笑い声で、ますます背中を丸めてしまい、耳が赤くなっている。


出席は進んでいく。

「桜木陽」

「……はァい」

(ダルいよな、こうゆうの。)

陽も、こういう空気はあまり好きではない。


ふと横を向くと碧と目が合った。

ん? と少し微笑んで見たが、碧はまたうつ向いてしまった。

(何でだろう??)

出席を取り終えた先生は、何やら色々とこれからの学校生活について説明をしている。授業の進め方や、選択科目の話。掃除当番や日直は交代でまわってくるだとか……。ホームルームでは、クラス委員を決めるらしい。


陽が興味を持ったのは部活紹介があるという内容だけだった。せめて部活くらいは頑張るか!

勉強はあまり好きじゃないし、食べるのは好きだし。

体でも動かすかー!


陽はグランドに咲いている桜の花を見ていた。碧よりも長い足の置き場を探しながら、落ち着きがなく動かしている。

開け放った窓から、柔らかな風が入ってきた。


新しい季節が始まったな。

少しでも楽しくなるといいんだけど。

俺も、隣の神﨑さんも……。


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