第50話 ⭐学生とバイト⭐

碧は花柄のスカートをひらひらとさせながらキャンバスを歩いていた。

高校を卒業してから、入学式を終え新たな学生生活をスタートさせていた。

しゃんと背筋を伸ばして爽やかな笑顔で友人と挨拶をかわす。

陽のいない学校。寂しくもあったが、碧はそれなりに楽しく生活をしていた。

授業を終えて、電車に揺られ自宅の最寄りの駅近くのカフェでバイトも始めた。


お店のロゴが入ったエプロンをつけて、長く伸びた髪の毛をシュシュで結んだ。

(カランコロン)

お店の扉が開くと音が鳴る。

『いらっしゃいませ!』

笑顔でお客さんをお迎えする。


お店の中は入れたての珈琲の香りが広がっている。

碧は簡単なサンドイッチを作らせてもらっている。

『すみませーん!』

『はい、ご注文をお伺いいたします。』

『このミックスサンドとブレンド珈琲で。』

『かしこまりました。お待ちくださいませ!』

笑顔で接客をし、手を洗ってから厨房に入りサンドイッチを作る。

碧はキラキラと輝いていた。




『はい、もう一回いきましょう!』

陽はスポーツジムでトレーナーとして働いていた。

『はい、息を止めないようにー』

陽の体はかっちりとして、以前よりもますます男らしくなり、美しいイケメンになっていた。

トレーナーのバイトが終わるとボイストレーニングを受ける。

そしてランニングをして帰宅をする。

時には碧のバイト先を訪れて、家まで送っていったり、会えない時は長電話をして二人は過ごしていた。




落ち着いた生活を送っているように見えるが、短大まで電車に乗る時間が長くなり、碧は発作に襲われる事が増えてしまった。

(陽。。。)

辛い時は陽にラインをすると忙しい時以外は連絡をくれた。

(どした?発作?大丈夫。)

(しんどい。。。)

(今どこ?)

迎えに来てくれる時もある。

無理な時は電話で落ち着くまで話をしてくれたり、ホントに陽は優しかった。

『いつも迷惑かけてばっかり。。。』

碧は陽の邪魔になっているのではないかと不安でたまらなかった。

でも、陽がいい。陽しか考えられない。

碧は薬を増やしながら、体調を整えるしかなかった。



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