第37話 ⭐2年生⭐
陽は相変わらず部活に打ち込む日々だ。
毎日汗だくになり、碧から貰った空色のタオルを毎日首にかけている。
碧はマネージャーとして奮闘中。時折パニック障害の発作に襲われながらも、毎日楽しく過ごしていた。
碧の日記はページを重ね、陽との日々が書き綴られている。
試験などで部活が休みになると、ふたりはこっそりとデートをした。
図書館に行って、陽は碧のノートを写させてもらったり。
勉強をせずに映画を観に行ったり。
初めてケンカをしたのはその映画を見た日の事だ。
碧は凛花先輩が(すっごく面白かった!)と言っていたアニメの作品が見たかった。
陽は洋画のアクションの作品が見たいと言った。じゃんけんをして、碧が負けたので陽が見たい映画を見る事にした。
陽は映画が始まって30分くらいで山盛りのポップコーンを食べきり、口を開けて眠ってしまった。
『もう、信じられないっ!』
碧は唇を尖らせて怒っている。
『ごめんね、本当にごめんなさい!ポップコーン食べてお腹いっぱいになっちゃって、つい。。。』
『つい?つい?寝ちゃうかなぁー』
『だーかーら、ごめんなそい!』
陽の謝り方が変だったので、碧は笑ってしまった。
そして大きなソフトクリームを買ってもらって、仲直りした。
一緒にとったプリクラや文化祭などで撮った二人の写真。
二人の思い出は少しずつ増えていた。
鞄につけた、サッカーボールのキーホルダーが揺れる。
ポニーテールに付けられたさくら色のリボンがついたゴム。
陽から誕生日にもらったプレゼントだ。
サッカーボールのキーホルダーはお揃いで、二人の鞄に付いている。
陽と碧は2年生になっていた。
自信なさげだった碧は、別人のようにイキイキとして美しくなった。
サッカーボールを追いかける陽の体は鍛えられてますますイケメンになっていた。
教室でヒソヒソと陰口を言っていたメンバーはクラスもバラバラになり何も言えなくなった。
背が高い美男美女カップルは学校で噂されるようになり有名になった。
新入生が入学してから、部活動紹介がある。陽が体育館で壇上にあがると、その噂を知らない1年の女子からは"カッコいい"とザワザワと声が聞こえてきた。
碧は少し不安にもなるのだが、凛花先輩が背中をポンッとしてくれる。
(大丈夫だよ!)
凛花先輩は相変わらず、可愛くて優しい。
視線を合わせて、碧はうなずいた。
陽と碧は今しかない一瞬一瞬を二人で重ねていた。
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