第2話 登校日


 ’うるは、起きて”イヤホンから中低音の男性の声が聞こえる。


 「ん・・もう少し」


 ’うるは、早く”


 「んー・・・おはよう、ハク」


 ’おはよう、うるは”ハクと呼ばれたのはゲーム内のキャラクターだ。


 うるははゴーグルをかけたまま部屋から出る。


 ゴーグルにはカメラ機能があり外部映像をプレイヤーに流しまるで肉眼で見えているかのように周囲を把握できる。


 各種事故情報や犯罪情報、混雑状態なども常に入手しており、通学や通勤などの最適ルート選択も行ってくれる。


 そのナビゲーションもハクがやる。


 3階にあるうるはの部屋から出る。時間を確認すると午前6時30分


 顔を洗うときはハクに一言断ってゴーグルを外す。


 水が冷たい。


 12月4日


 東京の冬が寒いというと北国の人には笑われてしまいそうだが、やはり寒いのだ。


 顔を洗って3階の部屋に戻ると隣の部屋から弟がごそごそしてるのが聞こえる。どうやら起きだしたのだろう。


 今日は週に1回の登校日だった。


 アルバイトはだいぶ減らして近所のコンビニで週2にしてもらった。


 髪の手入れをして、寝巻を脱ぐ。


 一度下着姿だけになる。


 淡い水色のブラとショーツに16歳の愛くるしい体がおさまっている。


 同年代の男子が見たら冷静にはいられないだろう。


 靴下を履いたところでうるはの部屋のドアが急に開く。


 ゴーグル越しにそっちを見ると陸翔りくとが立っている。


 「おねーちゃん、今日は学校?」


 「学校!それと急に開けないで」そう言いながらもそれほど怒ってはいないようだ。


 高梨陸翔は小学校5年生、今は10歳だ。


 身長は137センチでサッカーをやっていることもあり活動的だ。


 小学校の女子からはかなりもてるみたいだが同年代の女子には興味がないらしい。


 うるはの下着姿をたっぷり目に焼きつけてから自分の部屋の方に戻っていった。

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