第40話 夢奈
夢奈と結愛がうるはの所に来る。
3人でいつもの場所へ移動してご飯を食べ始める。
何となく夢奈の方を見ることができなかった。
「あやしい」夢奈がうるはをじとーっとした目で見る。
来夢に口止めされてはいるが夢奈には嘘はつけないと思った。
「神無月君と放課後会うんだ」
「そなんだ、普通に言えばいいのにね、あいつ」夢奈がくせのある髪を右手でいじる。顔が少し不機嫌そうに見える。
「言えなかったんだよ」結愛が割り込んでくれる。
「え?」
「うるはのことも夢奈のことも同じように大切に思ってるんじゃないかな?」
「勝手ね、そんなの」
「夢奈も一緒に来る?」
「いいよ、2人で行きなよ、お姉ちゃん同伴じゃデートもつまらないでしょ」
「夢奈、そういう言い方は良くないと思う」結愛は少し強い口調だった。
「・・・ちょっとトイレ行ってくる」夢奈はそう言って
「夢奈泣いていたよね」
「かな・・・うるはは気にしなくていいよ」
「でも・・・」
午後の授業
うるは・来夢・夢奈の間に目に見えない緊張感が走っている。
夢奈は少し目が
午後の終礼のチャイムが鳴ると夢奈はすぐに校舎から飛び出していった。
来夢とうるはは生徒たちが帰宅する中、正門の所で合流する。
「夢奈に話したんだ?」
「ごめん、隠しておけなかったから」
駅の方へ歩きながらそんな話をする。
「いいよ、隠しておくこともできないだろうし、変に思われるより」
「でも、夢奈泣いていたよ」
「そっか・・・」
夢奈は京浜東北線に乗るとそのまま田端の家まで直行した。
いつもなら登校日は仕事がない来夢と買い物をしたりごはんを食べるのが習慣だった。
どこか寄り道しようかとも思った。
でも、ナンパなんかされてもちっとも嬉しくない。
来夢
生まれてからずっと一緒の弟
中学の時に付き合ってる人がいたが、その時は何も思わなかった。
来夢はかっこいいし持てるんだろうなくらいにしか。
今はなんでだろう。
来夢がうるはと2人で会うのを隠そうとしていたからだろうか。
それもあるかもしれない。
でも、多分
来夢のことが・・・。
苦しい
水槽の中にいるみたい
なんでこんなに苦しいの
来夢
双子の弟
でも・・
来夢
夢奈はどこをどう歩いたかも分からず家に着く。
制服のまま自分の部屋のベッドに倒れ込むと泣き崩れる。
今頃うるはと何をしているんだろう。
考えたくもないのに考えてしまう。
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