第39話 約束
夜の7時50分になっていた。
母親はまだ帰ってくる気配はない。
リビングのエアコンを強くしてうるはと陸翔は今日買ったみかんの残りを食べていた。
少しすると玄関の方で音がする。
母親が帰ってきたのかと思ったがなかなかドアが開かない。
ドアノブをガチャガチャするような音までする。
まさか?山本??
無防備に部屋着姿でいるうるはの体がこわばる。
「見てくるよ、ねーちゃん」陸翔は
陸翔が見たときには誰もいないようだった。
リビングに陸翔が戻ってくるとうるはは陸翔にしがみつくように震える。
「大丈夫だよ、おねーちゃん」うるはの頭をよしよししてくれる。
さらに15分くらいすると玄関で音がしたがそれは母親が帰ってきた音だった。
母親に音のことを言うとすぐにドアホンの録画をチェックしてくれた。
ドアの前には誰も写っていない。
それではさっきの音はなんだったのだろうか??
夕ごはんが終わるとうるはの部屋に陸翔が来てくれていた。
今日は一緒に寝てくれるらしい。
うるははまださっきの音がなんだったのか恐怖心に支配されて、顔色が悪い。
横に寝ている陸翔がうるはの頭をぎゅーっとしてくれる。
なんだか少し安心する。
その日はゴーグルを着けないで寝てしまった。
朝
ベッド脇に置かれていたゴーグルのアラーム音で目が覚める。
陸翔はかわいい寝顔だ。
(ありがとう、小さな騎手様)陸翔のおでこにキスをする。
朝食を食べてからバス停に向かう。
このルートは山本家の前を通らなければならない。
望遠モードで確認するがやはり山本はこちらを見てる。
バス停に向けて足早に歩く。
息が白くなるほど寒い。
通学は特にこれと言ったこともなく赤羽にある学校に着く。
教室にはもう来夢も夢奈も結愛も来ていてうるはが入ってくるのをみつけると集まって話しかけてきた。
みんなにはまず一斗のお礼を伝える。
来夢や夢奈は友だちだからと言うし結愛は私はなにもしてないと言う。
気持ちだけとバイト先のコンビニで買ってきた新作グミをみんなに渡す。
みんなありがとうと言いながらすぐに食べてくれた。
“神無月にはたくさんお世話になっちゃったしどこか遊びに行かない?お兄ちゃんのことも話したいし私がおごるよ”うるは
来夢にはそう個別チャットを送信した。
“OK!放課後に待ち合わせようぜ!夢奈には言わないでおいて、あとおごりはなしな!”来夢
うるはにとっては男の子とのデートは初めてということになる。
授業開始前からかなり緊張してしまった。
午前中の授業は全部上の空で聞いているといつの間にかお昼休みに突入していた。
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