第11話 スーパー
チャットの内容はハクは見れないようになっている。
夢奈と3人とはいえ、来夢と遊びに行くのに少し罪悪感を感じる。
「ハク」
”ん?”
「来夢と遊ぶことになった」
”そうなんだ・・・”
「でも夢奈と3人だから」
”うん・・・”
「今日買ったアバターも着てさ、ハクも一緒に行くからね」
”うん”優しい笑みだった。
12月5日の午前中は何も予定はなかったのでうるはは部屋着のまま爆睡していた。
朝、隣の部屋のアラームが鳴って陸翔が登校の準備をしている気配を何となく把握していた。
深夜に帰宅した父親は陸翔のアラームがなる頃にはもう家から出て行っている。
お昼近くになってうるはが1階に降りて食べ物を探すと母親がサンドイッチを作って置いてくれていた。
「ありがとうママ」そう言って立ったままツナの入ったサンドイッチをほおばる。
食べる前にゴーグルで確認してカロリー表示を見ることも忘れていなかった。1日の総摂取カロリーなども記録されて便利だ。
食べ終わると部屋に戻り鏡の前で着替える。
母親に買い物を頼まれていた。
近所のスーパーに行くだけなのだがしっかりとメイクはする。
デニムのジーンズにトップスは白いパーカーと左肩にエンブレムのある黒のダウンジャケットを着て玄関を出る。
寒い。
一瞬家に戻ろうかと思うほど寒い。
スーパーまでは歩いて10分ほどだが。
半日家でごろごろしていた身にはとても寒く思えた。
見慣れた風景、ハクが隣で昨日買ったコートを身に着けて歩いてくれている。
うるはがハクの方を見るとハクもにっこりと微笑む。うるはもつられて笑顔になる。
スーパーに着くと母親から頼まれていた物をメモでチェックする。
豚肉、玉ねぎ、ジャガイモ、人参、牛乳、ブロッコリー・・・どうやらカレーかシチューなのだろう。
代金はスーパー専用のプリペイドカードにチャージされていてセルフレジを通せばすぐに決済できる。
たしかこのカードには5万円分くらいチャージされていたはずだ。
これがあればハクのアバターをどれくらい購入できるかなど考えながらお買い物を済ませる。
スナック菓子とリップも一緒に購入しておいた。
持参したエコバックに商品をきれいに積み込みスーパーを後にする。
ちなみにお肉選びや野菜選びの際もハクが色々とアドバイスしてくれてそれに従って購入している。
消費期限から、産地、値段、傷み具合などまで的確に指示してくれる。
スーパから出ると外の風が寒い。
ダウンジャケットの袖に手を引っ込ませて(いわゆる萌え袖)帰り道を急ぐ。
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