第10話 アバター(2)


 男性用のアバターアイテムはガチャでしか入手できないものを含めて30万種類以上あると言われている。


 まずは1日1回リセットされるガチャを引く。


 ガチャにしても有料アイテムにしても転売ができる。


 有料アイテムは買値の半額以下だがガチャで大当たりを引くと10万円以上で転売することも可能である。


 ガチャを引く前に転売掲示板をのぞくと女性用アバターで最高値は134800ゴールド(1ゴールド=1円)で売られていた。


 ガチャを引くのは右手のコントローラーでもできるが緊張してボタンが押せないのでハクに引いてもらう。


 「ハク、ガチャお願い」両手を重ねて祈りながらガチャの結果を待つ。


 少しの時間が空いて男性用ガチャの結果が出る。


 野球帽だった。多分市場価値は0だろう。



 まあ、こんなものかと思いながら有料ガチャには手を出さず課金アバターを探し始める。


 課金アバターを探すときも音声でハクにお願いすることも可能だが、ここはペン型コントローラーでどんどんとショップを変えていきアバターをチェックする。


 「これ!、ねえ!ハク」


 ”ん?”


 「着て見て」


 ”うん”


 ハクが試着する。


 千鳥格子ちどりこうし柄、灰色の立ち襟のロングコートだ。


 「あ、やっぱり似合ってる」


 ”かなあ?”そう言いながらハクは1回転してくれる。


 うるはは瞬間的に購入するボタンを押していた。


 1000ゴールドのアバターだった。


 ”ありがとう、うるは”ペコリとお辞儀をする。


 「ううん、いつもありがとうね、明日からは外出の時はこれ着てね」


 ”うん”


 アクセサリーも一緒に購入したかったがまたハクに怒られてしまうと思ってそれは後回しにした。


 

 買い物も落ち着いたところでチャットフォルダーの方に目を移す。


 うるははチャットフォルダーをリアル友人とネット友人に分けていた。


 ネットの方は挨拶しただけの知り合いも含めて膨大な数の知り合いがいてチャットの数もすごい。ネット知り合いは特に仲がいい子には★を付けていてその人からのチャットは目を通すようにしていた。


 今のところ★付きのチャットはないようだ。


 リアルの方はクラスメイトの神無月夢奈かんなづきゆめなと幼なじみの鈴木涼葉すずきすずはからそれぞれチャットが着ていた。


 ”来夢が私とうるはと3人で遊びたいって言ってるよ、どうする?”夢奈


 ちょっと考えた後”3人ならいいかなあ”と返信しておいた。



 ”土曜日遊びに行かない?”涼葉


 ”今週は土曜日バイト!ごめんね”うるは

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