第9話 アバター
うるはが脱衣場で部屋着に着替えて長い髪の毛にドライヤーを当てていると鏡に陸翔がバスタオルで体を拭いているのが見える。
ドライヤーを借りたいのか後ろからうるはの方をじっと見ている。
「なんだ、これが欲しいのかー」銃のようにドライヤーの熱風を浴びせる。
笑い顔になって逃げ回る陸翔。
壁際まで追いつめると観念して大人しくドライヤーの熱風を浴びる。
陸翔の短い髪の毛はすぐに乾く。
「私は15分くらいしたら出るってママに伝えてきて」
陸翔は素直にリビングの方に出ていった。
うるはがリビングに行くと母親と陸翔が夕ご飯を食べずに待っていてくれた。父親はまだ帰ってきていない。
唐揚げと明太子、それにゆで卵と海藻サラダ、お味噌汁も付いていた。
うるはは食べる前にゴーグルで料理を見る。
食事のカロリーがゴーグル内で表示される。このカロリーなら問題ない。
食事の間母親と少し会話を交わす。
学校のことなども聞かれるが適当に答えておいた。
食事が終わり3階に上がる。
陸翔には夜は入ってこないように伝えた。
トイレも済ませた。
明日は午前中は何も用事がない。
ハクとの時間だった。
ゴーグルをつけたままベッドに横になりくまの抱き枕を引き寄せる。
”おかえりなさいうるは”
「ただいま、ハク」
”うるはのメディカルチェックを行っています、安静にしてね”
「はーい」
数十秒の時間が流れる。
”特に問題なし!”
「やった!」
”今日も1日お疲れ様”
「うん、あ、ねえアバターショップを開いて」
”え、だめですよ、この前買ってくれたばかりじゃない?”
「私は週に1回バイト代が入るから」
”でも、僕のアバターはなんでもいいんですよ”
「良くないから!とにかくショップを開いて」
”はい”
ハクの言葉に合わせてアバターショップが開かれる。
実際に着られる服を作っているメーカーが提供しているだけあって細部までしっかりと作り込まれている。価格は無料~10000円を超えるようなものまである。
以前に3000円のアバターを購入してハクと喧嘩をしてしまい、アバターは1000円までの物ということになっていた。
今週のバイト代が15000円くらい口座に振り込まれていて、ゲーム内で使える通貨に換金済みである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます