第72話 ひざ枕
下着姿で一斗にべったりくっつきながらピンチなのはうるはもだった。
いつも一斗のことを考えながら秘め事をしているのに、裸のような格好でその一斗に密着してる。
体の奥から熱い気持ちになる。
一斗が少しでも動いたらもう我慢できないかもしれない。
そんなことを考えてうるはは真っ赤になっていた。顔だけでなく体まで赤みをさしている。
うるはが活動停止しているのを確認した夢奈は一斗の横顔に自分の顔をくっつける。
「一斗さん、キスして」
「え!」
「彼氏なんだから」
「まあそうか」
夢奈の方を向いてくちびるが重なるだけの軽いキスをする。
キスが終わると夢奈の方から舌を入れてディープキスをする。
一斗はそれに応じて夢奈を抱きしめる。
お兄ちゃんが夢奈とキスしてる。
どうしよう
愛してるお兄ちゃんが夢奈と
心がえぐられる
お兄ちゃん
「私にもキスして」下着姿のうるはが瞳を潤ませながら言う。
一斗はうるはの頭をポンと叩くとくちびるを重ねる。
あ、お兄ちゃんのくちびる
熱い
体のどこも触っていないのに下着姿のうるはがびくびくする。
うるははそのまま気を失ってしまったようだ。
一斗はうるはの上半身を持ち上げてひざ枕してあげる。
夢奈が梱包用に出されていた毛布をうるはにかけてあげる。
「俺たち大きな娘がいるみたいだな」ぐっすり眠っているうるはをなでながら一斗が呟く。
「うるはみたいな可愛い娘だったら大歓迎なんだけどな」
「夢奈ちゃん、うるはの友達になってくれてありがとう、こいつは優柔不断だろ」
「ううん、こちらこそです、一斗さんがあんまりかっこいいから私もうるはもキュンキュンしてるんですよ」
「そんないい男じゃないけどさ」
「そんないい男ですよ」
一斗はうるはの耳についているイヤリングの感触を確かめながら頭をなでていた。
夢奈は立ち上がってうるはの体操着を乾かすためにハンガーにかけてあげた。
「一斗さん私たちのおままごとに付き合ってもらっちゃってほんとにごめんなさい」
「おままごとじゃないだろ?神無月家みたいな大きな家でお見合いなんてもう結婚を強制されたようなものじゃん」
「うん・・そうなんだけどさ・・・」
うるはをひざ枕している関係上動けない一斗の代わりに夢奈が部屋の片づけと掃除をテキパキとやっていく。
「あれ?何時?」うるはの目が覚める。
「もう4時だよ、うるは」ひざ枕してくれている一斗が教えてくれる。
「お兄ちゃん・・・」一斗に抱き着いて甘える。
「こらこら、そろそろやらないと夢奈ちゃんだけでやっているぞ」
「あ、うん、お兄ちゃんずっと頭なでてくれていたよね」
「ああ」
「なんか嬉しかった」
「そうか?」
「うん!大好き!!」
「ああ、大好きだよ、うるは」
うるはも干していた体操着を着て引っ越しの手伝いに戻る。
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