第71話 カウンター


 3人で手分けして最後の片付けをする。


 一斗は寝室で最後の片付けをしていた。


 寝室にあったキングサイズのベッドはバラバラにされて部屋のすみに置いてある。引っ越し先には持っていかず捨てるつもりだ。


 「一斗さんこれなんだけど~」そう言って夢奈がキッチンからおたまを持ってくる。


 「あ、それは20番の段ボールに突っ込んでおいて」


 「はーい」


 その後も夢奈は数分ごとに一斗のところに行き判断してもらう。



 (夢奈わざとらしい)うるはの目に怒りの炎が燃えていた。


 2時間くらいしたところでチャイムが鳴った。


 一斗がお寿司を頼んでおいてくれたみたいだ。


 うるはが玄関に取りに行くとうるはの体操着姿に宅配の人はびっくりしていた。


 

 テーブルはすでにばらされていたので折りたたみテーブルの上にお寿司を置いた。


 午後2時になったところで一斗が夢奈とうるはに休憩しようと告げる。



 一斗を真ん中にうるはと夢奈が左右に座る。


 「一斗さん、あーん」そう言って夢奈がまぐろを一斗の口に運ぶ。


 一斗はもぐもぐと食べる。


 「お兄ちゃん玉子好きだったよね」そう言ってうるはがあーんする。


 一斗はそれももぐもぐと食べる。



 夢奈とうるはは何を食べさせるか考えてお寿司を見る。


 「俺のはいいから自分たちのを食べな」


 『はーい』とりあえず休戦にして2人はお寿司を食べ始める。



 近い


 夢奈が一斗の左距離0で座っている。


 近い


 うるはが一斗の右距離0で座っている。


 夢奈の右の胸やうるはの左の胸が動くたびに一斗の腕に当たる。


 暖房が効いていることもあっていつの間にか夢奈はTシャツ姿になっている。


 おそらく2人ともDカップであろう。


 それでもさすが一斗というべきか涼しい顔で目の前にあるお寿司を食べている。


 一斗はビンテージジーンズにロゴ入りパーカーだ。


 身長183センチある一斗は何を着ていても似合うと思えた。



 「一斗さん赤ちゃん作ろう!」夢奈がいきなり爆弾を投下した。


 うるはは直撃を受けてお茶を吹きこぼす。


 「え?赤ちゃん?」一斗が驚いて聞き直す。


 「そう、赤ちゃん作ったら婚約なんて消し飛ぶから」


 「赤ちゃんかあ・・・」


 「一斗さんの赤ちゃんだったら私だけでも育てられる」


 「いや、そんな無責任なことは、ちゃんと責任取るけど・・・」


 「え?嬉しい!それって籍を入れてくれるってこと?」


 「あ、まあそうなったらだけど」



 話がはずんでいる2人の横でうるはがお茶の付いた体操着を脱ぐ。


 昨日30分悩んだクリーム色に青の縁取りがされているブラが色っぽい。


 話をしていた一斗がうるはの胸元から目が離せなくなっている。



 「ちょっと、うるはどんな格好してるの?」


 「夢奈がびっくりさせるからだよぉ」真っ赤な顔をして恥じらいの表情を浮かべている。


 「あ、下にもお茶かかってる、びしょびしょだ」そう言って体操着を全部脱ぎだした。


 ブラとお揃いのクリーム色に青い縁取りのショーツ姿となる。


 少し下を向いて一斗にくっつくうるはは破壊神のようなかわいさがある。



 うるは・・・カウンターね。夢奈は燃えていた。

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