第81話 12月23日


 12月23日火曜日



 隣に寝ている陸翔と一緒に起きる。今日はコンビニのバイトがある日だ。


 ジーンズにニットのセーターといったラフな格好に着替えると洗面を終わらせて陸翔と1階に下りる。



 今日はこずえは早く出かけなければならなかったらしくもういない。


 テーブルにはたまごサンドとハムサンドが2個ずつ置かれていた。陸翔と仲良く食べる。


 食べ終わると陸翔は教科書などの準備があるようで自分の部屋に上がっていった。



 ぼーっとテレビを見る。


 天気予報によると今日は晴れるらしい。


 そのうちに陸翔が戻ってきた。もう学校に行くらしい。


 「ちょっとしゃがんで」


 「なに?陸翔」そう言いながら陸翔の顔の位置までしゃがむ。


 陸翔はうるはのほほに軽くキスをした。


 「陸翔??」


 「行ってくるね!」


 「はーい、行ってらっしゃい」 笑顔で送り出してあげた。



 バイトまではまだ30分くらいあるので部屋に戻って化粧をする。


 チャットの着信を見るがすぐに返信しなくてはならないものはないみたいだ。


 戸締りをして家を出る。


 外に出ると風が寒かった。


 ダウンジャケットを着ていても顔や手足に冷たい風がまとわりついてくる。


 山ちゃんの家の方を見ると山本がこっちを見ているようだ。


 大きく手を振る。



 コンビニに着くと夜勤の大学生2人組に挨拶をする。


 なにかもぞもぞしているがほっといて更衣室に行く。


 ニットのセーターを脱ぎコンビニの制服に着替え店内に。


 今日はいつものおばちゃんとペアだった。 挨拶をしてバイトが始まる。



 今日も駐車場側のレジに立たせてもらった。


 いつの間にか山ちゃんに見られるのが趣味になっているのかもしれない。


 どうせ望遠モードで録画でもしているのだろう。


 おばちゃんが接客中の時などはわざと山ちゃんの家の方に向かって制服をはだけさせて胸の谷間を強調してみたりする。


 どうせ山ちゃんのことだからオーバーなリアクションをしていることだろう。


 胸の下に腕を入れて胸の谷間を強調して上目遣いで山ちゃんの方を見たり、べーっと舌を出したりする。


 おばちゃんに気付かれないかヒヤヒヤするがそれはそれでスリルがあって楽しかった。


 お客さん対応と山ちゃんをからかっているとすぐにバイトは終わってしまって夕方になった。


 まるでそれが当然のように涼葉が買い物に来る。


 タイムカードを押して涼葉と一緒にコンビニを出た。



 涼葉の家に着くとお母さんに挨拶をする。


 「うるはちゃんはかわいいから彼氏さんもいるのかな?」涼葉のお母さんが答えづらいことを聞いてくる。


 適当に答えて涼葉の部屋に上がっていった。 


 うるはの買ったお菓子と涼葉の買ったアイスでテーブルがあふれそうになっている。


 溶けないうちにと2人はアイスから食べ始める。


 「涼葉、私保育士になる!」うるはは急に宣言をする。


 「え!すごいじゃん!応援するよ」


 「うん・・私は涼葉みたいに頭良くないから試験とかもちょっと心配だけど」


 「そこは応援するし、勉強とか一緒にやろうよ」


 「ありがとう・・・なんかずっと頼りっぱなしだよね、私・・・」


 「頼られるの嬉しいよ、だって私が何か価値があるってことじゃない?それって」


 「涼葉は価値がありすぎるよ!誰が見たってそうだよ、私はさあ、何もいいところがないよ」


 「そんなことないでしょ!うるはにはたーーーーーくさん、いいとこあるよ」


 「え・・そうかな?」


 「そうだよ、一斗さんだって来夢君だってそれだから近くにいるんじゃないかな?私もそうだけど」


 「かなあ・・・」


 「まあ、かわいいから・・うるはは」そう言うとうるはをベッドに押し倒す。


 「あ・・涼葉・・・」


 涼葉は今日はスラックスの制服だった。


 なんだか男装しているみたいでうるははどきどきしていた。


 ニットのセーターでふくらみが強調されているうるはの胸をやさしくもんでいく。


 「涼葉・・感じちゃうよ」


 「感じさせようとしてるの」


 涼葉はセーターの中に手を入れてうるはの敏感なところを触ってくる。


 うるははびくんとなる。


 「うるは、かわいい」


 そう言って涼葉のくちびるがうるはのくちびるをふさいだ。

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