第80話 プラネタリウム


 陸翔はうるはがカラオケしているのを邪魔したくなかったのか自分の部屋でゲームをしていたようだ。



 うるはがゲームを終えるのを見計らって部屋に入ってくる。


 なんだか子犬のように思えて思わず抱きしめてあげる。


 「陸翔、一緒にお風呂はいろっか?」


 その言葉に陸翔はこくこくとうなづく。 



 脱衣場でも陸翔はうるはにべったりくっついてくる。


 「陸翔、脱ぎづらいでしょ」


 そう言っても陸翔はうるはの胸あたりにひっついて離れない。


 「いつの間に赤ちゃんになっちゃったの?」


 陸翔の体を避けてどうにか脱ぎ終わる。



 髪の毛を洗っている間も陸翔はくっついてくる。


 陸翔はおそらくいやらしい気持ちはないのだろうがちょうど胸に手が当たるのでうるははびくっとしてしまう。


 陸翔が洗わないので自分の髪の毛を洗った後は陸翔の髪の毛を洗ってあげる。さらさらとした髪の毛だなと思う。陸翔はされるがままだ。


 あ・・そうだと思ってうるははスポンジに大量のボディーソープを染み込ませると自分の体にぬる。


 その体で陸翔の体をこすってあげる。


 陸翔はきゃっきゃと喜ぶ。


 うるはのDカップの胸がスポンジ代わりになって陸翔の上半身を泡立てる。


 後ろに回り込んで背中も綺麗にしてあげる。


 そのまま陸翔のおしりと足もうるはの胸と腕で洗い上げる。


 前のほうはどうするか少し迷ったが陸翔の男の子の部分も指で洗ってあげる。


 陸翔はびくびくっと反応して男の子の部分も大きくなっていた。



 陸翔の体を洗い終わるとうるはは自分の体も洗い終わり一緒に浴槽よくそうに入る。


 2人の体積分のお湯が浴槽からあふれる。



 浴槽に入っても陸翔はうるはにべったりとくっついて離れない。


 陸翔なりに何か考えているのだろうか?


 うるはが一斗のように遠くへ行ってしまうとか、自分の手の届かないところへ行ってしまう。もしかしたらそんなことを考えているのかもしれない。


 「私はどこにも行かないからね?陸翔」そう言ってぎゅっと抱きしめた。



 お風呂から出るとこずえがもう帰ってきていてご飯を作っていてくれた。


 今日の夕ご飯はハンバーグとポテトサラダそれにコーンスープだった。


 「私の好きなものしかないじゃん!」うるははそう宣言してご飯を食べる。


 椅子をくっつけてうるはのすぐそばに座っている陸翔も嬉しそうにハンバーグを食べている。


 陸翔がデミグラスソースで口の周りをべたべたにしてるのでうるはは拭いてあげた。



 食事が終わって部屋に戻っても陸翔がついてくる。


 うるははベッドにうつ伏せになって今日届いた保育士の専門学校の資料をぺらぺらとめくる。


 陸翔は内容を理解しているのか頭をくっつけて一緒に資料を見ている。


 保育士試験の合格率は19パーセントから25パーセントと書かれている。


 かなり難しいとうるはには思えた。


 でも、やってみたい。


 今、考えられる最大限だった。


 神無月君はもう社会に出て頑張っている。


 お兄ちゃんも再出発している。


 同級生もいつかは社会に出ることになる。


 自分もそう。


 どんな仕事でも社会の役に立つことにはなると思う。


 それでも、ずっと続けていける仕事ができたらやっぱり幸せだろうし、それが自分のやりたい仕事だったらもっと素敵なことだろう。


 小さな子どもを預かることは大変なことだろうし、でも、なってみせる。そう思えた。



 隣を見ると陸翔はいつの間にか寝てしまっているようですやすやと寝息を立てている。


 陸翔を起こさないように照明を落としてゴーグルを着ける。


 「ハク、プラネタリウムを映して」


 “了解だよ”


 ゴーグルの中では冬の星座が投影され音楽とハクの説明が流れる。



 1時間くらいそれを見ながらうるははいつの間にか寝てしまった。

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